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スピングラス

ガラス(グラス)は普通の固体と違い、原子が規則正しく並んでいない。原子配列だけを見ればむしろ液体に近く、実際ガラスの花瓶は何億年もすれば自然にアメのように変型するはずである。しかし原子の動きをみると一見乱雑に見える状態に固まってほとんど動かないところが液体と大きく違う。これに似た性質を示す磁性体が「スピングラス」とよばれている。電子はそれぞれ「スピン」と呼ばれる向きを持っていて、多くの電子のスピンが同じ方向を向くと磁石になる。スピングラスにおいてはこのスピンがばらばらな方向を向いた状態で固まっていて、ガラスと同じような状態になっている。

スピングラスのモデルとして最も簡単なものは以下のようなものである。まず碁盤を考える。黒い線で升目が引いてあるが、この線をランダムに半分だけ赤い線にする。この碁盤に白と黒の碁石を置いて行く。黒い線の両側が同じ色の石であれば+1点、赤い線の両側は違う色の石であれば+1点とし、それ以外は0点とする。このとき最も点の高い石の並べ方というのは一見でたらめなパターンとなる。この得点を「エネルギーの低さ」と考え、温度が低いほど低エネルギーの状態が優勢になるというモデルを考えると低温で一見でたらめなパターンに固まるというスピングラスの振舞を再現することが出来る。このモデルは見た目の単純さからは考えられないほどの複雑な振舞いを見せ、現在でも世界中でスーパーコンピュータを用いた大規模なシミュレーションによる研究が行われている。