過剰な自意識を持った主人公が(それ故)自意識の範疇だけが世界(セカイ)であると認識・行動する(主にアニメやコミックの)一連の作品群のカテゴリ総称。
『新世紀エヴァンゲリオン』『ほしのこえ』『最終兵器彼女』などがこれにあたる。
小説なら『イリヤの空、UFOの夏』や、桜井亜美や田口ランディの作品など。
[きみとぼく←→社会←→世界]という3段階のうち、「社会」をすっ飛ばして「きみとぼく」と「世界」のあり方が直結してしまうような作品を指すという定義もあるようだ。特に『最終兵器彼女』などは、「きみとぼく」が「世界」の上位に来ている、すなわち「きみとぼく」の行動で「世界」の行く末が決まってしまうという設定であるのも興味深い。
テレビドラマでいえば『高校教師』『世紀末の詩』『リップスティック』などの、いわゆる野島ドラマがそれにあたるといえるかもしれない(当時はその言葉は無かったが)。特にリップスティック最終回に前述のセカイ系の典型が顕著にあらわれているといえよう。このドラマでの”エデンの園を彷彿とさせる場所で、アダムとイブとなった二人が世界を再構築する””ヒロインに羽が生えて空を飛翔する”などといった最終回のイメージは、多くのアニメ作品のラストでも見受けられる。
なぜ、セカイ系といわれる作品群がこれほどまでに多くの若者に受け入れられるのかというと、若い時代に特有の心理があげられる。たいていの若者は大人と違って経験の蓄積もそれほどないため、その場の空気の読み方などといった、この世の”社会の約束事”は非常に複雑に感じ、己が社会と付き合っていくことにわずらわしさを感じる(=ウザイ)のが普通だ。そのために、社会との接点を”すっ飛ばした”セカイ系の作品は、”自分がそこに居たらどんなに心地よいだろう!”と感じるため、すんなりと入っていきやすいのである。
「ぷるにえブックマーク」の管理人、ぷるにえ氏(id:tokataki)が、2002年10月下旬から使い始めたのが始まり。
11月1日
●「セカイ系」のまとめ
・ぷるにえが一人で勝手に使ってる言葉で、大した意味はない。
・エヴァっぽい(=一人語りの激しい)作品に対して、わずかな揶揄を込めつつ用いる
・これらの作品は特徴として、たかだか語り手自身の了見を「世界」という誇大な言葉で表したがる傾向があり、そこから「セカイ系」という名称になった
ぷるにえブックマーク「セカイ系」関連の記述(in Internet Archive Wayback Machine)
インターネット上で初めてこの言葉を使用したのは、ぷるにえ氏と交流のあった「しゅうかいどう」管理人、しゅうかいどう氏であり、10月30日のことであるとされる*1。
10月30日(水) 今日の検索ワード : ゴールドマッスル 同人誌 (1件のページが見つかりました ←つまりうちだけ)
昨日の夜は、西尾維新をテーマにして 「セカイ系とは何か」 の講義を受けました。 チャットで。 西尾維新はまだ読んだことないので、話にはほとんど参加できませんでしたが……。 続きは、ぷるにえ掲示板にて。
ぷるにえ先生が落ちた後は、ガンダムシードや灰羽連盟や萌え目的アニメやブロッコリーやネット書店について話していたような。
しゅうかいどう「2002年10月のてきと〜日記」(in Internet Archive Wayback Machine)
笠井潔は、評論『社会領域の消失と「セカイ」の構造』*2において、次のように理解する。
笠井は、《日常、現実、内部》と《異常、妄想、外部》の二項対立的世界から逸脱し、セカイ系への道を拓いたものとして、『新世紀エヴァンゲリオン』『ブギーポップは笑わない』を挙げている。
斎藤環は2人の論者の言説を引用しつつ、間接的ながら「媒介的なるものの喪失」につき以下のように述べている*3。
- 別役実
- 皮膚感覚でお互いに感じ取れる距離については「近景」。家族や地域社会といった共同体的な対人距離で構成される「中景」。神秘的なものや占いを信じるような態度は「遠景」につながる。そしていまや、近景と遠景を媒介するはずの「中景」が抜けてしまって、近景と遠景がネットワークを通じていきなり接続されるというのだ。
- 東浩紀
- ラカンの用語を用いて、「象徴界の喪失」と表現している。ここで「近景」は「想像界」に、「遠景」は「現実界」に相当する。(中略)主人公たちの学園生活といった日常、すなわち想像界と、世界破滅の危機といった無限遠の彼方にある現実界とがいきなり結びつけられがちであることを指摘する。そこには「中景」にあたる「社会」や「イデオロギー」が存在しない。
<内面>と<世界>とをつなぐ橋渡しとしての<社会>を嫌がる態度(で描かれた作品)
*1:http://parallelloop.jp/2010/02/post-4.html
*2:『小説トリッパー』2005年春号(ASIN:B0007W9DAY)所収
*3:『「負けた」教の信者たち』(ISBN:4121501748)26頁
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| あ | オタクの常識 |
|---|---|
| か | 「現代用語の基礎知識」欲しい!, キモイ系 |
| さ | 桜坂洋 |
| た | タニグチリウイチ |
| は | ほしのこえ, 美少女ゲームの臨界点, ハテナ系 |
| ま | 前島賢, 喪男の哲学史 |
| や | 山本蒼美 |
| わ | 惑星大怪獣ネガドン |