チャールズ・ジェームス

アート

チャールズ・ジェームス

ちゃーるずじぇーむす

Charles James (1906-1978) イギリスのサンドハースト生まれのクチュリエ、ファッション・デザイナー。彫刻的で芸術的なデザインは、多くのデザイナーに影響を与えた。多くの作品がニューヨークブルックリン美術館に永久保存されている。服を着る女性のために形を作る構造的ドレスで有名。ボール・ガウンは、当時の上流階級の女性の心を奪い、独占状態で注文を請けていた。クリスチャン・ディオールはボール・ガウンを「シンプルな詩の様な作品だ」と賞賛し、彼の官能主義を理解した。創造的なデザインの構造や革新的なパターンは、クリストフ・バレンシアガも最高級のクチュリエとみなし、賞賛を惜しまなかった。表面に見えるものよりも構成手法への関心が高い彼をホルストン(ジョルジオ・アルマーニトム・フォードにも影響を与えたファッション・デザイナー)は「ファッション界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼んだ。現代でもジェイソン・ウー(アメリカ大統領夫人、ミシェル・オバマが就任式で着用したドレスを作った)も影響を受けている。ポール・ポワレ、ジャン・コクトーセシル・ビートンらとも親交が深い。顧客の中には、ファッション・アイコンとして度々ボーグ誌に紹介されたミリセント・ロジャーズ(スタンダード石油会社創設者の娘)がいた。

作品の特徴

「彫刻家の視点と科学者の理論を持っている」と称されるほど、研ぎ澄まされたパターンワークが特徴。仕立てるのに、非常に精密さと大量生産にそぐわないフィットを要するデザインを専門とした。ニューヨーク衣服産業の中心地、セブンス・アベニューの一角をなすウィリアム・ボッパー・アンド・サミュエル・ウィンストン社がパトロンとなる予定も、大量生産できないデザインであるため、白紙となった。複雑なパターン、チュールが何層にも重ねられたスカート。絶妙な色合せの感覚、彫刻的なカットと数学的かつ科学的なアプローチで、従来の舞踏会用ドレスに芸術的かつ官能的な魅力を吹き込んだ壮麗なデザインが評価された。デザインの多くは細いウエストを強調するクラシックなもので、解放されたはずのコルセットを再び女性の身体に装着するといった回顧主義でもある。1930年代からの初期のバイアス・カットのドレスには、マドレーヌヴィオネに心酔し、ミニマリスト的構造への傾倒が見て取れる。特注のドレスになるとモデルを相手にデザインを進め、長時間掛けて、彫刻的にドレープやプリーツを付加した。布を大量に使うことでも有名で、最終的にはドレス自体が自立してしまうくらい重量感のあるものになってしまうことも多かった。重くて着にくいが、ひとたびきてしまえば、まるで魔法のように理想的でグラマラスなシルエットを演出した。

人物像   

完璧主義で、ドレスを完成させるまでに膨大な時間がかかった。女性を美しくすることよりも、ドレスを彫刻化することに専念していた。気難しく、エゴが強い。情緒不安定で、家庭では紳士だったが、スタジオでは、作品がまとまらないと荒れた。イギリス人であることを誇り、お茶の時間にはトワイニングに、ジンジャーマーマレードトーストを楽しんでいた。ナンシーは死後「ジェームズは性的逸脱があり、心理的な悩みをかかえていた」と明かしている。

経歴