『テヅカ・イズ・デッド――ひらかれたマンガ表現論へ』
伊藤剛の著作。マンガ評論。
2005年9月,NTT出版より刊行。
89年、手塚治虫の「死」以降、あたかもマンガの歴史が終わったかのように、マンガの歴史には何も付け加えるべきものがないかのように語られた。マンガが描かれ、読まれ、変化を続ける現実は厳然と存在するというのに議論はいつも同じ所を堂々巡りしていた。
私たちは神(=手塚)の死後15年というもの、歴史的空白のなかにいる。この間に描かれ、読まれ、愛されたマンガたちは、孤立し、そして急速に忘れられようとしている。空白は歴史の分断である。(中略)
これは、マンガというジャンル全体にとって不幸ではないのか? マンガ史を書かせずにきた「マンガの近代」が抱え込んだものとは? 私たちの生きる、二重の意味での「歴史の不在」を解き明かし、90年代以降、そして「これから」のマンガ表現の可能性を「キャラとリアリティ」という視点から探る。
出版社の紹介文より部分引用