和訳すれば蒸溜所。同一蒸溜所のモルト・ウイスキーだけを使った製品のことをシングル・モルト・ウイスキーという。
蒸溜とは液体を加熱し、沸騰点のちがう揮発成分を分離・濃縮すること。ウイスキーの場合、穀物を発酵させたアルコール含有液を、単式蒸溜器(ポット・スチル)や 連続蒸溜器(パテント・スチル)にかけて、アルコール濃度の高い酒をとり出すこと。
1気圧のもとで、水の沸騰点は100℃だが、酒の主成分であるエチル・アルコールの沸騰点は78・325℃。この差を利用して始めに蒸発してくるエチル・アルコールの気体を冷却して、高濃度の酒にするのである。ジャパニーズ・ウイスキーやスコッチ・ウイスキーは、大麦麦芽の発酵液を単式蒸溜機で2回蒸溜して、アルコール度数70度前後のモルト・ウイスキーをつくる。また、穀物の発酵液を連続式蒸溜機で蒸溜して、93度前後のグレーン・ウイスキーをつくる。アイリッシュ・ウイスキーは穀物の発酵液を単式蒸溜機で3回蒸溜して、原酒とする。アメリカやカナダのウイスキーは一部の例外を除いて、連続式蒸溜機で蒸溜する。