本作を書いたデニス・ジョンソンは、アイオワ大でレイモンド・カーヴァー*1から教えを受けた作家です。暴力とドラッグに染まった現代アメリカ社会の暗部を精力的に描きましたが、その乾いた文体はカーヴァーのミニマリズムを彷彿とさせます。 《あらすじ》 ダンダンの誕生日に彼の農家に行くと、銃で撃たれたマッキネスが長椅子にうずくまっていた。仲間たちはぼんやりと事の成りゆきを見守っている。ぼくはマッキネスと彼を銃で撃ったダンダンを車に乗せて病院に向かった。アイオワの広大な畑を通り抜ける道路を走り続けるぼくらはどんどん小さくなっていく。 『どこまでいっても抜け出せない』 「どこまでいってもこの道から抜け出せない…