三重県名張市で1961年に女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求審で、最高裁が先月、殺人罪などで死刑が確定した故・奥西勝元死刑囚の妹による特別抗告を棄却した。 奥西元死刑囚は無実を訴え、一審は無罪判決だった。逆転で死刑が確定した後の第7次請求で再審開始が一度決まった経緯もある。 冤罪(えんざい)の疑いのある事件で、最高裁の裁判官5人のうち1人が再審を開始すべきだとの反対意見を述べた。この事件での反対意見は最高裁で初めてだ。確定判決の疑義はより深まったと言える。 「疑わしきは被告人の利益に」との刑事裁判の鉄則が十分に考慮されたのか疑問が残る。 66年の一家4人殺害事件で死刑が確定…