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ノルナゲスト

一般

ノルナゲスト

のるなげすと

神話と伝説の境界に位置する人物。

名前の意味はそのまま「ノルンのゲスト」

昔ながらの神を捨てキリスト教の洗礼を受けた王の元に、年齢不詳の男がやってきた。

男は不老で、どんな戦にも必ず帰ってくることで有名で、これまで数百年を生きてきた。

ジークフリートやその他の英雄たちを間近に見た生き証人で、その語りを貴重と思った王は男を招いて酒宴を開いた。

やがて英雄物語も一通り語り終えた時、王は何故男が不老不死なのかを訊ねた。

男は荷物から一本の古いろうそくを取り出して、語った。

かつて男が生まれる時、その運命を決めるために三柱のノルンがやってきた。その時、末のスクルドだけは産湯を運ぶ下女たちに押しのけられたりして、とても機嫌が悪かった。

ついに子供が生まれた。

すると、ウルドは、「この子はとても強い男になるでしょう」と祝福した。

ヴェルダンディは、「この子は波乱万丈の人生を送るでしょう」と祝福した。

けれど末のスクルドだけは、「この子の寿命はこのろうそくが燃え尽きるまで!」と呪詛を放った。

一堂騒然となったけれども、ウルドがさっと気を利かせてろうそくを吹き消して、母親に与えた。

「このろうそくがなくなるまで、この子が死ぬことはないでしょう」

男はその言葉通り、ろうそくがある限りは不老となり、死の手にかかることはなく、英雄たちが死に絶えた今にいたるまで生き残ったのだ。

王はノルナゲストのことを気に入っていたので、彼を家来にしたいと思った。けれど、それにはこの男がキリスト教徒にならなければならないと決めた。

ノルナゲストは何かを観念したように、形だけの洗礼を受けた。王はそれを喜び、古い神の影響を消すために、ノルナゲストにろうそくを灯すように言った。ノルナゲストは言われるままに火をつけた。

ろうそくが短くなるにつれ、ノルナゲストはどんどん年老いていった。驚いた王は火を消そうとするが、ノルナゲストがそれを止めた。古い神々の時代が終わりキリスト教の時代がやってきたことを知ったノルナゲストは、古い神々に殉じるつもりだったのだ。

ろうそくが燃え尽きた時、そこには干からびた老人の死体だけが残った。