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フューリアス

一般

フューリアス

ふゅーりあす

世界最初の航空母艦。ただし、完成までに(完成後も)さまざまな紆余曲折があった。

紆余曲折その1:ハッシュハッシュクルーザー

冒険的なバルト海侵攻作戦を立案していた困ったチャンのフィッシャー提督は、何か悪いひらめきに取り付かれていた。「大火力・高速・軽防御」というコンセプトの「ハッシュハッシュクルーザー」の建造もそのひとつである。

そういうわけでフューリアスは18インチ砲(=45.7センチ砲)を搭載する「軽巡洋艦」というわけの分からない存在として建造が開始された。だが、建造中に生みの親のフィッシャー提督がダーダネルス作戦(ガリポリ)の失敗から失脚してしまい、フューリアスの生涯も違う方向へ展開していくことになる。

紆余曲折その2:航空母艦への道

北海での諸海戦の結果、当時の水上艦隊の偵察力が低いことが問題視されていた。巡洋戦艦などの登場で主力艦隊の速度が上昇したが、「艦隊の目」たる巡洋艦がそれに追いつけず、敵情を把握する能力が相対的に低下していたのだ(情報処理というソフトウェアの問題も大きかったが。ジュットランド海戦でこの問題は頂点に達する)。ドイツ側は、大型飛行船群を運用することでこの点の手当てができたからまだましだったが、イギリス側の敵情把握は無線傍受に頼るしかなかった。そして、高海艦隊(大洋艦隊)が無線封止を行って北海に乗り出したら最後、無線傍受は役立たずである。

そこで考えられたのが、当時発達著しかった航空機である。水上機を船(水上機母艦)に搭載して、クレーンで海面に揚げたり降ろしたり*1して運用するのだ。

だが、波の荒い北海でこのやり方では問題だらけだった。「洋上で航空機を運用できるフネが必要だ」というのが英国海軍の認識になる。ここで「まともに作っても使い道ないだろ」とばかりにフューリアスに目がつけられる。計画が変更され、艦の前後に1門ずつ装備されていた18インチ単装砲のうちの前部のを撤去、飛行機が飛び立てるように平甲板が設置された。

こうして1917年竣工したフューリアスだったが、このままでは艦の前部だけに飛行甲板がある、「発艦は可能だが着艦できない」という謎の存在だということが発覚してしまう。「やっぱこれって違う」と気づいた英海軍は、「着艦できないと駄目じゃん」とばかりに竣工後にすぐに改装をはじめる。艦後部に飛行甲板を追加して、一応着艦もできるようになったが、間に艦橋が残っていて飛行甲板はぶつ切り状態になってしまう(写真はこの時期のもの)。

「これってやっぱり不便だよ」ということで客船から改造中だった空母アーガス(1918年完成)は、今日の空母のような全通甲板を持つことになる*2

一方のフューリアス1922年から再度改装開始。艦橋も煙突も撤去して全通甲板になってやっと空母っぽくなった。

その後

フューリアス第二次世界大戦では本国艦隊に所属し、船団護衛や航空機の輸送任務、そして作戦行動などに従事した。が、やっぱり旧式化していて新型機の運用には無理があったので、戦況に余裕の出てきた1944年に予備役編入され、戦後の1948年に除籍、スクラップとなった。

彼女の生涯を見ると、やはり何でも新しいものを作るのは難しいのだということが理解できる。

要目(新造時)

HMS Furious

  • 常備排水量:19,513t
  • 全長:239.7m
  • 幅:26.8m
  • 喫水:6.4m
  • 主缶:ヤーロー缶18基
  • 主機/軸数:減速タービン4基/4軸
  • 出力:90,000hp
  • 速力:31.5kt
  • 兵装:45.7cm砲×2,14.0cm砲×11,53.3cm魚雷×2
  • 装甲:水線76mm,甲板76mm,主砲塔前楯178mm,司令塔254mm
  • 乗員:880名

*1:本当は発艦はできたので降ろす必要はあまりない

*2:このため、アーガスの方を「最初の空母」とする場合もある