Frederick Wiseman
アメリカの映画監督、ドキュメンタリー作家。 なお『コメディ・フランセーズ〜演じられた愛〜』がきっかけで、同劇団の舞台も手掛けることとなり、カトリーヌ・サミー主演でワシリー・グロスマン作《La Dernière Lettre》とサミュエル・ベケット作《しあわせな日々》を演出し、前者は映画収録してカンヌ映画祭にも出品し、後者は好評につき2006年秋にも再演された。
コメディ・フランセーズ ~演じられた愛~ [DVD]
BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界 [DVD]
フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー映画『パリ・オペラ座のすべて』を観た。世界最古のバレエ団「パリ・オペラ座」の練習風景やスタッフの仕事を追いかけている。約二時間四十分。
昨日も今日も東京国際映画祭。 なかなかブログが追いつかないけど、昨日観たフレデリック・ワイズマンの最新作『メニュー・プレジール〜レ・トロワグロ』について。 2023.tiff-jp.net 作品解説 巨匠ワイズマン監督が、世界の食通が夢見るレストラン〈トロワグロ〉を描くドキュメンタリー。美食の国フランス、親子3代に渡り55年間ミシュランの三つ星を持ち続ける、その驚異の秘密に迫る。 作品情報 監督 フレデリック・ワイズマン 240分 カラー フランス語 日本語・英語字幕 2023年 フランス/アメリカ セテラ・インターナショナル 最近は、3時間超の映画は観ないようにしていたのだけど、本作は4時間…
映画『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』を観た記録。早稲田松竹で上映があってラッキーだった。 child-film.com wasedashochiku.co.jp youtu.be まずびっくりするのは、アメリカ映画だけど、中で人々が話している言語はほぼスペイン語なこと。スペイン語を勉強してる人が観たらよさそう。特に南米のスペイン語やスペイン語圏の現代史を学んでいる人。スペイン語はスペインでだけ話されているわけではないんだな。 もちろんスペイン語だけではなく、ここでは167か国語が話されているそう。 その異なる文化圏を順繰りに移動する、そのスピードが早すぎて切り替えられない。それぞれ…
映画ベストテン2021 2021年映画ベストテンを以下に記して置きたい。そろそろ止め時と思いつつ今年も、コロナ禍を回避して49本を映画館で見た。作家別の作品ランキングなど、DVDや配信ビデオで見直すことも増え、よく映画を見た年だった。 映画ベストテン選出は『キネマ旬報2021年12月下旬』(キネマ旬報社)の「2021年キネマ旬報ベストテン選出用リスト」から、選出した。 【外国映画】 外国映画は、フレデリック・ワイズマンの『ボストン市庁舎』が素晴らしく、274分の長さは、途中休憩をはさみながらも、一日がこの作品を見るために費やされた。『ボストン市庁舎』は、ワイズマンの集大成的作品になっている。ボ…
映画『ボストン市庁舎』をヒューマントラストシネマ有楽町で観た。 夏頃から公開を心待ちにしていたので、いつもより早めの公開5日目に乗り込んだ。 あと、この週は予告が5分ということだったので、ありがたかった。予告編がつらい話はこちら。 youtu.be cityhall-movie.com 観てきた。 274分。予告や休憩も入るので、映画館にいたのは5時間ぐらい。長いけれどあまり集中はきれずに見ていた。長丁場の鑑賞で鍛えられているのもあるし、前作『ニューヨーク 公共図書館 エクス・リブリス』でだいたいどういう体験をするのかわかっているからもある。 観終わっての一発目の感想としては、「あーだから、先…
『ボストン市庁舎』という映画を観た。 ここまで主観を排除した高品質なドキュメンタリーはない、と思う。 ワイズマン大好き。 お金(学生なら2500円) と体力(インターバル込みで4時間半) と興味がある人は、ぜひ観に行ってみてほしい。 あと、「市役所割」というのがきくそう。2200円になります。 いま日本の市役所で懸命に働いてくれている、職員の方々にも広まるとうれしい。 観終わった後、きっとボストンに住みたくなるし、市役所の仕事に誇りを持てるし、ポジティブな気持ちになれると思う。 で、今日シェアするのは、映画を観ていて、お!と思った表現についてです。 市庁舎で、職員が、カップルの指輪交換(婚姻の…
ボストン市庁舎の内部に入り込み、「市民のためにはたらく市政」とマーティン・ウォルシュ市長(当時)にカメラを向けた『ボストン市庁舎』が公開となるフレデリック・ワイズマン監督、そしてワイズマン作品から多大な影響を受けたと語る想田和弘監督のZOOM対談が行われ、「訳・構成・文」として参加しました。 ボストン生まれのワイズマン監督から個人的に感じてる”イナセな職人気質”。というのは、こうと決めたらテコでも動かない一徹さ(それは映画を撮るための「契約」の話にも伺える)、自らマイクを持って撮影現場で走り回るフットワークと、「その瞬間」を逃したくなくてじっと待っている忍耐力が示している。そんな重労働な撮影を…
2020年のアメリカのドキュメンタリー映画。監督はフレデリック・ワイズマン。 フレデリック・ワイズマンは今91歳なんですね。精力的に映画を撮り続けてすごいです。 これも山形国際ドキュメンタリー映画祭で観たのですが、4年前に『ニューヨーク公共図書館エクス・リブス』を観たときはお歳で山形に来られなかったと思うのですが、今回はオンライン開催ということで質疑応答に出てくれて大変嬉しかったです。 まず、驚きは4時間半以上の映画ということで、面白かったのですが、な…長い!!! この映画祭では9時間越えの映画とかもよくやっていて、賞に入ったりしているので山形の映画祭を好きな人には大したことのない時間なのかも…
City of Bostonが行使される場をひたすら追いかけたドキュメンタリー。 大変リッチで面白かった。公共政策という学問領域が肉をもって活きている感じがする。 クオモNY州知事の周囲をかためる行政官を見ていても思うこと。結婚式に立ち会い、"By the authority vested in me by the State of California, I pronounce you..."の決まり文句を聞くたび、自治体という顔のないものが実体を伴って迫ってくる。 ちなみにこの映画でMassachusettsに代わってその宣言をしたスタッフさんはカンペ見ながら噛んでたけどね...。私が日常…
●概要 ●海外勢953名 ●他俳優 ・「日本勢のリスト」へ ●概要 映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優、その他スタッフといった映画人が影響を受けた・好きな映画。 「国別」、未個別化「一覧」、それ以外「その他作家」、「映画評論家のベスト」 ※2022年12月21日追記:文字数制限のため「日本勢」リンク集独立
・「①」へ●「新・三つ数えろ」 ●「フレデリック・ワイズマンの足跡 Part.3」 ●「古典映画超講義」●「カメラの前で演じること」 ●「レオス・カラックス 映画を彷徨うひと」 ●「ユリイカ」2020年10月号●〃2022年12月 ●「carteblanche-movie」2009年 ●「kinejun.com」●「Letterboxd」 ●「京都ヒストリカ国際映画祭」2022年 ●「LaCinetek」 「よみがえるブルース」より ・「①」へ ●「DVD&動画配信でーた 2021年12月号」の「新・三つ数えろ」より スカーレット・ストリート(緋色の街) フリッツ・ラング…ジャン・ルノワー…
最近チェックした諸作品について備忘として感想を記載。ネタバレあり。 開設以来平均20PV/日のこのブログがここ一週間600PV/日くらいアクセスされているので調べたら黄龍の村の感想のみアクセスされている。どうやら最近Netflixで配信されたらしく、その影響のようだ。他の記事へのアクセスはないから特段面白味のない感想だと日に600人くらいが思っていると考えるとゾッとしまさあな。
監督:フレデリック・ワイズマン 4時間のドキュメンタリーで、具材の下拵え、牧場やワイン園、チーズ園のパート、料理のパート、それから客とシェフの対話が、ある程度の偏り(たとえばシェフと客の対話は終盤に集中している)をもたせつつ、しかし完全には構造化されないかたちで並べられている。 牛の鳴き声や卓球に興じる音など、オフの音声を多用することで、見えている以上の空間の広がりを生んでいるのが良いし、個性的な客やスノビッシュな客を捉えるカメラには遊び心があった。また、冒頭近くの、シェフと息子2人がメニューを練っている場面のショットが極めて美しい。後半ではシェフが味見をして批評する場面があって、このシーンが…
鑑賞環境問わず2023年見た映画から印象的な作品をPickup。 ブランクありましたがそこそこ映画鑑賞戻ってきました。以前のように観たい作品なんでもは見れず、むしろ見落としの方が圧倒的に多くなってきましたが、それだけに偶々出会えた映画一本一本の記憶を大事にしていきたい。 THE FIRST SLAM DUNK(井上雄彦、2022年/日本) 全体としては手探りの映画制作は伝わってくるなんとも言えない構成なのだけど、その分も試合シーンの目が吸い込まれていく躍動が引き立つ。抗えなかった。 ミンナのウタ(清水崇、2023年/日本) 視点変更で「アイドルが宿泊しているホテル」が立体化してホラー装置を組み…
『クリーン、シェーブン』(1993年・アメリカ) ***** 原題:Clean, Shaven 監督:ロッジ・ケリガン 出演:ピーター・グリーン ロバート・アルバート ミーガン・オーウェン ジェニファー・マクドナルド ほか 上映時間:1時間19分 【あらすじ】 ピーターは自分の頭に受信機、指に送信機が埋め込まれていると信じており、頭の中に流れ込んでくるノイズに常に苦しめられている。施設を出た彼は、里子に出された娘を捜すため故郷の町へ帰るが、幼児連続殺人事件を追う刑事から容疑者として目をつけられてしまう……。 ***** 幻覚や幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける統合失調症の男を、徹底的に抑制さ…
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 早速2023年のベストテンを。今回もあえて時流に逆らい、全て映画館で見たものに限定で。 その前に特別賞を。オタール・イオセリアーニの全作品。理由はここに記すまでもないだろう。 まずは新作映画ベスト。先達に敬意を表し、生年順。なおベスト候補が20本近くもあったので、今回は特例として、映画祭でしか上映されていないものは除外した。 「遺灰は語る」(パオロ・タヴィアーニ)「フェイブルマンズ」(スティーブン・スピルバーグ)「枯れ葉」(アキ・カウリスマキ)「小説家の映画」(ホン・サンス)「ザ・キラー」(デビッド・フィンチャー)「インディ・ジョー…
7月 シティシリ・モンコルシリ監督作「ハンガー:飽くなき食への道」("Hunger" : 2023) グリンダ・チャーダ監督作「ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日」("Angus, Thongs and Perfect Snogging" : 2008) Amazon「ワイルド・アイルズ 壮観なイギリス諸島」("Wild Isles" : 2023) リー・ダニエルズ監督作「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ」("The United States vs. Billie Holiday" : 2021) ロブ・ジャバズ監督作「哭悲/The Sadness」("哭悲" …
①ファースト・カウ(2019) 随分と待たされて期待値MAXになっていたけれど、これはその期待を超える傑作でした。ある意味ジョン・ヒューストン的ともいえる西部劇としてはよくある一攫千金の題材が、ケリー・ライカートの手にかかるとマチズモとは真逆の印象で今まで誰にも語られていなかった未知の映画として21世紀に現出してしまう驚き。ショット/その連鎖の編集、先行する音響/アンビエントな音楽、スタンダード画面内に現れるフレーム内フレーム/フィクスとパンで被写体を的確に捉える撮影/映画館のみでしか体験できない夜の闇の黒さを再現する色彩、いずれもハイレベル且つライカートの比類無き個性が際立つ素晴らしい作品で…
全3項目 ●代表作 ●「Sight and Sound」の「映画監督が選ぶオールタイム・ベスト 2002(Sight & Sound Top Ten Poll 2002 All directors who voted The directors who voted in top ten poll were)」より10本 ●DVD「THE MOON AND THE SLEDGEHAMMER Includes Behind The Scenes Film」より1本 ●「aframe.oscars.org」の「Documentary Filmmaker Nick Broomfield's Top 5…
論説「映画痴人 蓮實重彦」 A 表層批評の紋切り型 蓮實重彦の表層批評はコンテクストがあってこそできる放言にすぎない。文芸批評における『夏目漱石論』(講談社文芸文庫、二〇一二年)ならば作家の伝記的事実に基づいた解釈を否定し例えばあえて「横臥」に着目したり、『大江健三郎論』(青土社、一九八〇年)においては政治性や寓意を無視して「数字[一]」にのみ触れる遊戯、曲芸だ。それは映画についても同じことで、ジョン・フォードの映画といえば『真珠湾攻撃』December 7th(一九四三年)、『ベトナム、ベトナム』Vietnam! Vietnam!(一九七一年)といった作品を完全に黙殺して恣意的に選んだ商業的…
※釜山国際映画祭訪問記、本記事では後半(5日目から最終日まで)をお届けする。 五日目 この日から二日間にかけて今年度の三大映画祭(ベルリン、ベネチア、カンヌ)の最高賞受賞作品を見ていくことになる。しかしその前に、まずは一本目にこの作品のために釜山に行ったといっても過言ではない、ビクトル・エリセの31年ぶりの新作『Close your eyes』を大スクリーンで見る。エリセの新作は、ある映画のシーンから始まる。月日が経って、その作品に出演したものの後に失踪した俳優の友人を探す映画監督が、取材を受け倉庫で映画にまつわる物品を探す。俳優が別の場所で労働者となって生きていたことを知る映画監督は、その俳…
ジャンフランコ・ロージ監督の『海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜』が、なんと言っても傑作ドキュメンタリーだった。2016年度ベルリン国際映画祭金熊賞。 先立つ『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』も2013年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。ドキュメンタリーでこの2冠は快挙だったはず。 ただ、『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』は、イタリアや、少なくともヨーロッパの生活感覚がないと楽しめるかどうかわからない。日本人としては、というか、個人的には眠たかった。でも、あれがたとえば、名古屋とか、仙台とかが舞台ならすごく面白いんだろうなとは想像できた。 で、繰り返しになるけれど、『海は燃えている〜…