ピエール・プジャード(1920―)南仏の文房具店主をしていたが、1953年、税制改革に反対する小売業者を組織して反税運動を展開し、翌年には、チュニジアを手放したマンデス・フランスから多国籍企業、哲学者・知識人、外国人まで祖国に背く者をすべて攻撃するファシスト的右派政党にまで発展し、56年の総選挙では52議席を獲得するまでに躍進した。彼が組織したプジャード運動は、典型的なポピュリズムの運動として、プチブル層の生活保守意識に根ざした偏狭で拝外主義的な感情的愛国主義を組織し、アルジェリア戦争に疲弊した50年代末から60年代初めのフランスにおいて一定の力を持った。現在のフランスの人種主義的右翼政党「国民戦線(フロン・ナシオナル)」のル・ペン党首もこのプジャード運動の熱烈な担い手だった。