北回帰線 (新潮文庫)作者:ヘンリー ミラー新潮社Amazon『北回帰線』は、ヘンリー・ミラーが1930年代のパリを放浪した体験をもとにした自伝的処女作であると言ったところで、何を説明したことにもならないだろう。松岡正剛は書評サイト「千夜千冊」意表篇649夜でローレンス・ダレルやアナイス・ニンがあんなにミラーのことを語っていなければ、ミラーなんて読みはしなかったと書いているが、やはりある程度文脈がないと読みにくい作家だと思う。1930年代というのも微妙で、世界各地から芸術家たちが集まって、シュルレアリスムをはじめ、様々な芸術のムーブメントを起こした「狂騒の20年代」。そんな宴の後に遅れてやって…