ジュゼッペ・ヴェルディの作曲で、原作はスペインの劇作家アントニオ・ガルシア=グティエレス。戯曲題名は『シモン・ボカネグラ(Bocanegra)』で、c が一つ。 第2幕のロベルト・フロンターリ(シモン:バリトン)、イリーナ・ルング(アメーリア実はシモンの実の娘マリア・ボッカネグラ:ソプラノ)、ルチアーノ・ガンチ(ガブリエーレ:テノール)の三重唱は哀しみと後悔と安堵と愛とが絡み合って、感動的な歌唱であった。音楽(大野和士指揮・東京フィルハーモニー交響楽団)も過不足なく寄り添うように演奏され心に染みとおった。 第3幕海辺の場では、アメーリア=マリア・ボッカネグラの祖父ヤコブ・フィエスコ(リッカルド…