ゲームソフトを違法コピーできる機器又は違法ゲームを楽しむための機器などの総称。不正にコピーされたソフトが起動しないように施されたプロテクトを解除して家庭用ゲーム機で起動可能にするための機器。
外観はゲーム機のスロットにさすカセット類と同様の形状をしており、中にマイクロSDカード等を挿し込めるようになっている。
主な機能はゲームソフトのコピーおよび起動、自作プログラムの実行だが、2010年9月時点では規制対象が技術的保護手段の回避機能のみを備えたものに限られることから、音楽・映像の再生機能が名目上加えられていることが多い。
正規版ゲームソフトの販売に大きな影響を与えているとされ、その被害総額は1兆円に迫るとの試算もある(東京大学大学院情報学環・馬場研究室が2010年5月17日に出した「違法複製ゲームソフトの使用実態調査報告書」によると、2004〜2009年の違法ダウンロードによる被害総額を推計したところ、ニンテンドーDSで3495億円、PSPで6044億円にのぼるという。)
「マジコン」という名称は、過去によく売れた製品(フロントファーイースト社が発売していた「スーパーマジコン」。スーパーファミコンのROMカートリッジからフロッピーディスクに移すことができた。)の名前が一般化したものと言われている。
略称を思わせる語感からか、「マジックコンピューター」を正式名称として表記する向きもある(http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091207/crm0912071413013-n2.htm)が、実際はユーザーによる呼称であり、販売側は『携帯ゲーム機をマルチメディアプレイヤーにする装置』等の表現を用いて「マジコン」表記は避けている。そのため出品禁止などの通知、ニュースリリースなどでは「いわゆるマジコン」「マジコンと判断されるもの」といった表現になっている。
マジコンの定義は時代とともに変化してきており、過去にはPCによるデータのバックアップや、同人ゲ−ムの基盤に使うなどの用途で使用されることがあったが、現在では、インターネット上に流通する市販ソフトウェアの違法コピーを実際のゲーム機でプレイするために用いられることがほとんどである。コピーされたゲームのネット上での違法な配布・流通が増加する一方で著作権管理者側も無許諾コピーが実機でプレイ出来ないように対策を施してきているため、コピーのプレイ機能に重点がおかれるようになった。
R4(工場が倒産し、会社が変更した。)(i)
DSTT(i)
M3 simPly
n5(R4の後継機。)
M3 さくら (任天堂の監視をクリアしている。)
AceKard2i(iのみ)
EZ−Flash Vi(iのみ)
日本国内では販売が禁止された違法ゲーム機であり(参考 2009年2月27日、東京地裁判決)、Yahoo!オークション、楽天では出品禁止となっている。(http://topic.auctions.yahoo.co.jp/notice/rule/post_30 2009年2月27日、Yahoo!) (http://auction.rakuten.co.jp/guide/info/info080828.html 2008年8月27日 楽天)
マジコンの存在については、ゲーム業界内外から批判が続出しているが、ハードとしてのマジコン自体はゲームの自作プログラムの開発用としてや個人でプライベートなコンテンツを楽しむ目的、データのバックアップ用として販売されている。問題になっているのはネットで違法ダウンロードしたゲームをマイクロSDに入れて使用する事である。
2010年1月1日より改正著作権法施行(http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009123001000395.html)。規制強化により個人利用も規制。海賊版の音楽ファイルなど入手そのものが禁止。
2010年9月7日に開催された文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会の2010年度第9回会合で、技術的保護手段の回避規制の強化について検討が開始された。11月末までに規制案の詳細をまとめ、早ければ2011年の通常国会での改正著作権法成立、2012年1月の施行を目指す (http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20100907/1027355/)。ゲーム業界からの要望もあり、著作権法改正と同時に、不正競争防止法についても経済産業省と調整しつつ、「マジコン」取り締まりを強化するための規制強化がはかられる。
また、日米欧など主要国で交渉中の模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)が2010年秋〜冬にも妥結する見込みとなっている。
マジコンについては、任天堂を中心とするソフトウェアメーカーが不正競争防止法を根拠として民事訴訟を行い、2009年2月に一審判決で販売差し止め命令が出されている(任天堂によるニュースリリース)。
しかし、法的根拠となった条文には刑事罰がなく、民事訴訟を個別に行う必要があり、露店や自動販売機などによるゲリラ的な販売は、依然として続いているのが現状である。
数多くのインターネット上のサイトで極めて多数の本件吸い出しプログラム(引用者注:無許諾コピーのこと)がアップロードされており,だれでも容易にダウンロードすることができ,被告装置(引用者注:いわゆるマジコン)の大部分が,そして大部分の場合に,本件吸い出しプログラムを使用するために用いられているものであるから,被告装置により,原告らは,DSカードの製造販売業者として,本来販売できたはずのDSカードが販売できなくなり,現実に営業上の利益を侵害されているものと認められる。原告任天堂は,DS本体の製造販売業者としても,原告仕組みの技術的制限手段が妨げられてその対策を講じることを余儀なくされ,現実に営業上の利益を侵害されているものと認められる。任天堂は海外でも製造販売業者を相手に訴訟を起こしているが、イタリアでは勝訴したもののスペイン、フランスでは敗訴している。(http://www.pcworld.com/article/184075/nintendo_lose_piracy_lawsuit.html)
「ソフト会社に利益が出なければ、新しいゲームが作れなくなってしまいます。良作品が、今後も世に出てくる為に、こういう違法性の高い製品には、手を出さない事が重要だ。」