イギリスのチャネル諸島の一つジャージー島とフランス海岸との間にあるマンキエ諸島とエクレオ諸島をめぐって、イギリスとフランスが領有権を争った事件。1950年、付託合意書を締結し、翌年、紛争を国際司法裁判所に提起した。
両国は、国家権能の継続的な行使を証明するため、さまざまな証拠を提出した。エクレオ諸島に対する対立する主張の相対的な強さを評価するとき、裁判所は14世紀初頭以来、同島は継続してイギリス国王の統治下にあったと認定した。フランスは有効な権限を保持してきたことを立証していない。マンキエ諸島についても、イギリスが提出した証拠は、17世紀初頭、イギリス領ジャージー島の一部として取り扱われ19,20世紀においても、イギリス当局が国家権能を行使してきたことを示している。他方、フランスは水路調査、暗礁への浮標の設置等の事実を援用したが、これらは主権者としての行動ではなく、島への国家権能の発現を含むものとはみなされえないとされた。
領有権は、建造物等の設置ではなく、「継続的にかつ平和的」に主権を行使しなけらば認められず、他国からの「抗議」があればその時点で「実効的支配」は領有権取得の権原にはならないという判例。