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ミオシン

myosin

概要

筋肉に必ず含まれる「モータータンパク」の一種であり、科学史上最初に発見されたものでもある。

細胞内ではミオシンは多数寄り集まってフィラメントを形成し、そのまわりを取り囲むアクチン?と相互作用することによって筋肉としての収縮動作を行う。アクチンとミオシンを一体としてアクトミオシン?と呼ぶことがある。

このときの相互作用について、現在までにさまざまなモデルが提案されており、中には有名なたぐりよせるような動作(まるで尺取虫のようである)を行うとするモデルもあったが後に否定され、現在は確定的なモデルが存在しない状態である。

ミオシンには、relax状態(state)とcontraction状態と呼ばれるふたつの状態が存在し、contraction状態のときにATPを消費する。ATPエネルギーを出すための燃料であり、ATPの消費により筋肉中に乳酸がたまることで疲労する。これが人間が鉄棒にぶら下がり続けるだけで疲れる理由である。

しかし、貝などでは、contraction状態でATPの消費量が低下する筋肉が存在する。

なお、筋肉を「伸ばす」という作用は存在せず、逆側にある筋肉(拮抗筋)が収縮することで、結果的に筋肉をムリヤリ伸ばしているということを忘れてはならない。この例となるのが、上腕二等筋と上腕三頭筋、などである。

ミオシンは、タンパクの研究対象として非常に有用であり、さまざまな動物から精製されている。代表例として、うさぎ、にわとり、ホタテ、ムール貝などが挙げられる。

ここで、実験動物として名高いカエルが使用されていないのは、なぜかミオシンを精製するうまい方法が見つかっていないからだ。収量が上がらなければ誰もカエルを使いたいとは思わないだろう。

ミオシンの形状、大きさ、分子量について

ミオシンは、さまざまな種類があるがここでは一般的に扱われるMyosin-IIについてのみ述べる。

ミオシンがモータータンパクであることはすでに述べたが、ミオシン全体においてモータータンパクである部分と、フィラメントを形成する部分は異なる。

通常、ミオシン全体に対し、モータータンパク部をHMM(Heavy Mero-Myosin)、フィラメント形成部をLMM(Light Mero-Myosin)と呼び、それぞれ分子量はHMMが約350 kDa、LMMが約150 kDaほどである。

よって、ミオシン全体では約500 kDaとなる。

HMMはさらにサブフラグメント1、2(通常S1,S2と表記する)に分けることができる。

1つのHMMには2つのS1と1つのS2が含まれ、分子量はS1が約120 kDa、S2が約100 kDaである。

これらの分子量の値は、動物種によって異なる。

また、S1ふたつのみの状態をMyosin Head、S2とLMMのみの状態をMyosin Rodと呼ぶ。

透過型電子顕微鏡などで観察する場合や、タンパク機能を調べる場合には、調べたい部位のみを残すようにこれらの酵素を利用して分解することが多い。

よって、これらの部位に関する呼称は非常に重要であり、研究分野・内容を端的にあらわす用語としても用いることが可能である。

ミオシンをこれらの部位に分解するためには、タンパク質分解酵素を用いる。

ミオシンをHMMとLMMに分解する酵素は、トリプシンなど、S1とS2に分解する酵素は、パパインなどがある。