明治以降、「西洋化」を追求した日本は、自らの人種的差異をいかに捉えられてきたのか。タブー視されてきたその心性の系譜をたどる。 高尚な文体の序文から、何が始まるかと思えば夏目漱石157センチ、ラフカディオ・ハーン154センチ、小村寿太郎156センチ、児玉源太郎150センチ、……体が小さいことで西洋人に引け目を感じるのはやむをないという論調がつづく。 夏目漱石の有名なイギリス留学中の一節、 「何となく自分が肩身の狭い心持がする。向こうから人間、並外れて低い奴が来た。しめたと思ってすれ違ってみると、自分より二寸ばかり高い。今度は向こうから妙な顔色をした一寸法師が来たなと思うと、これすなわち、おのれ自…