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メイザース

(読書)
めいざあす

Macgregor Mathers、マクレガー・メイザース、ロンドン生まれで、アンリ・ベルグソンの実妹ミナと結婚した魔術師、1854〜1918年。本名はサミュエル・リデル・メイザース(Samuel Liddel Mathers)。貴族の血を引いていると主張して、パリに移住した1892年頃より「グランストラエ伯爵マグレガー」を自称する。
チェスとボクシングとフェンシングが得意で、詩才にも長け、軍学や戦争理論においても『歩兵戦における実践的教示』を翻訳した他、1458年にユダヤ人アブラハムが息子ラメクに与えた(という触れ込みになっている)『アブラメリンの魔術』を発見し・翻訳している。
但しエジプトにしても室町にしても歴史には付き物の“偽書”系に属し、ゾクチェン仏教の「埋蔵教」や、キリスト教の『ナグ・ハマディ文書』や『死海文書』と趣きを同じくするものである。何故なら、同時代のグリモワール;『ソロモンの鍵』や『ゲーティア』などの場合とは大きく異なり、変な薬草やら動物の生贄だのは要求せず、魔法円も出てこない。
ばかりか、春分から秋分までの半年間、禁欲生活を強いり、「肉食」を禁じ・「勤勉」を奨励する、極めて近代的な健全さに満ちている。
このことも、訳したメイザースの偽書説を不確かなものとしてしまう。というのも、1888年に居候先のウィリアム・ウィン・ウェストコットらと共に「黄金の夜明け団」を、これが喧嘩別れに終わった1900年には「A∴O∴」(アルファ・アンド・オメガ)をも結成した彼は、その以前にも「フリーメイソン」と「英国薔薇十字協会」に入会しており、「0=0儀礼」や「5=6儀礼」などミトラスやオルフェウスの密儀を想わせるような、“死”と“再生”の如何にもオカルティスティックな教義文書を作製しているからである。
人目に付かない庭付きの家屋で「銀の皿と祭壇」さえ用意したら実践できる『アブラメリン』であったが、とはいえ、クロウリーやD・フォーチュンで恐ろしい祟りが生じたように、必ず守護天使や先師との知遇を得てからにしなければ酷い目に遭う。それはどのような魔術・シャーマニズムの技法でも・方術や密教でもそうだが、TVやITまたは文献だけの情報を元になまじいな挑戦は死を招いたり、周囲に大変な迷惑を掛けてしまうことにも成りかねない。呼吸法ひとつ勝手知らぬインチキ導師に関煩っては、生涯的な障害を抱え込むことにも成り兼ねない。よって「触らぬ神に祟り無し」であるし、表面には出てこない事件や不満など余程リサーチした上でないと、海図を持たない航海に成り兼ねず、無謀で徒な自殺行為である。
1891年にメイザースは「ルックス・エ・テネブリス」とか「ドクター・ティソン」という“秘密の首領”との接触を果たしているが、これはブラヴァツキー夫人の場合の「クート・フーミ」や「モリヤ」や、彼女の盟友である所のヘンリー・スコット・オルコットの「エジプトのマスター」と同工異曲であり、ユングが井上円了のように明晰に分析したので明らかなように昨今ではエドガー・ケイシーやジョージ・アダムスキー、プレアデス、あるいは楢崎皐月や岡本天明、または2012年の終末説を採る「フォトンベルト」や「マヤン・カレンダー」の例のように、“地球外”やら“宇宙人”にまで拡張してきており、実に賑やかである。
シルバーバーチにウイングメーカー、レムリア・アトランティスのボブ・フィックス、クンルンネイゴンのマックス・クリスチャンセン、ミシェル・デマルケ、サネヤ・ロウマン、エンリケ・バリオス、バーバラ・マーシニアック、ゲリー・ボーネル、ジャネット・ハウザー、ドランヴァロメルキゼデク、ドリーン・バーチュー、ホゼ・アグエイアス、ケネス・ジョンソン 、ベティ・シャイン、キャロライン・メイス、キリアコス・C. マルキデス、ミッシェル・スモールライト、ハリー・エドワーズ、ジーナ・レイク、ジーナ・レイク、ジェーン・ロバーツ、矢追純一、中矢伸一、布施泰和(→「寅泰」ではない!)、山岸隆、関英男、船井幸雄、深野一幸、岡田達雄、岡田光興、遠藤昭則、高坂和導、中村留美子、佐治芳彦、中丸薫、なわふみひと、白峰聖鵬、若山敏弘、、中山宥、森田健、……等々等々。
しかし、これらはもちろん事実かもしれないけれども、“情ヲ報ズル化社会”に成ってどうもベター・ベターッと湿っぽく需用されている憾がある。スタンリー・キューブリックとピーター・セラーズという類稀なる撮り合せの異作;『博士の異常な愛情』(Dr. Strangelove)におけるアメリカの戦略空軍基地司令官ジャック・D・リッパー将軍のように、「対戦直後からずっと今日まで、共産主義の陰謀で水道水から歯磨きに至るまでフッ素が添加されてきたため、我々の体液は蝕まれている!」って程度の“杞憂”なのかも知れない。この疑心は最終戦争へと暗鬼した。無論、正常化バイアスも危険だが。

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