:飲食物
フランス語でmeringue:ムラングといい、スポンジケーキを焼いたり、バタークリームやムースを作る時などに欠かせない卵の白身を泡立てたものを言う。
卵白の中に含まれているタンパク質が空気を抱え込んで泡立つ働きがあり、タンパク質の中の、空気に触れると膜状に硬くなる性質のものが、気泡を安定化させる。
泡立て器を持ち上げるとメレンゲが一緒に付いてきて、角が立てば出来上がり、ただし、泡立てすぎると離水してくるので注意が必要である。
このように卵白はそのままでも泡立てることは出来るが、砂糖やクリームタータを加えた方が、泡たちのキメを滑らかにし、しっかりとしたメレンゲに仕上がる。これは砂糖やクリームタータの分子がpHの関係から水を引き付ける力が強く気泡の安定性を高める働きがあるためだ。
砂糖には、卵白が膜状に固まるのを抑制する作用もあるので、加え方に注意しょう。
また、メレンゲを作るときに用いる泡立て器やボールに油分が残っていると、卵白の泡立ちが悪くなる。これは、油脂に卵白の気泡を破壊する作用があるためだ。
また水気も嫌うから、泡立て器やボールは前もってきれいに洗って、乾燥させて置くようにしよう。
メレンゲを作るときのヒント
- 冷たいうちに黄身と白味を分けるほうが分け易い。
- プラスティックボールでは、プラスティック自体の製造工程中の気泡痕や表面の傷があるために泡立ちが悪いので、メタルか銅製のボールに入れたほうが良い。
- 家のなかが湿っぽかったり、天候が雨の場合は普段より泡立たない。
- 寒いとき細かい泡になってしまい、泡立つのに時間がかかる。
- 白味は凍らすことができるが、解凍するときは冷蔵庫で融かしてすぐ使う。新鮮なものに比べて簡単にボリュームのあるメレンゲができる。
- 卵を割ったときに白味の中に黄身を混じらせてはいけない。入ったときは殻を使って素早くすくう。完全に取れなかったときは他に利用すべし。
- メレンゲを作るのに使う道具は、油分を取って清潔にする。気になる場合は、酢やレモン汁で拭いて温かい水で洗い流す。
- 白味とクリームタータ、レモンジュース、酢(ホワイトビネガー)との配分は、白味1〜2個に対してクリームタータとレモンジュースは1/8ティースプーン、酢は1/4ティースプーン。1カップの白味(Lサイズの卵の白味 8〜10個分。)に対してクリームタータやレモンジュースは1ティースプーン。
- 泡立つ前に塩を使うと白味が軽く泡立ち易いが、安定性が悪く、萎み易いので、小麦粉の方に入れるほうが良いがお勧めではない。むしろレシピの配分の砂糖のうち大さじ2杯分削ってその分白味を加え、削った砂糖はバターの方に入れて活用した方がよりしっかりする。水を使う場合は、5分間しか泡立ちが持たないので使わないほうがよい。
メレンゲの種類
メレンゲは基本的には砂糖と卵白で作られるが、作り方によって3種類に分けられる。
- ムラング・オルディネール (Meringue ordinaire)
- コールド・メレンゲ(フランス・メレンゲ)。卵白と砂糖を泡立てた普通のメレンゲ。
- ムラング・シュイス (Meringue suisse)
- スイス・メレンゲ(ホット・メレンゲ)。卵白と砂糖を湯煎にかけ約50度まで温度を上げながら泡立てたもの。肌目が細かく、堅い。着色、香り付けが可能。使用法としては、絞り出して弱火で焼成。アントルメやプティフールなどの飾りつけ及び表面に塗るのに使用する。泡立てる際に、数滴のレモン汁やビネガーなどを加えると、メレンゲが固く白くなる。
- ムラング・イタリエンヌ (Meringue italienne)
- イタリアン・メレンゲ(ボイルド・メレンゲ)。堅く泡立てた卵白に117‐120度に煮詰めた熱いシロップを流し入れ、更に堅く泡立てたもの。熱いシロップが入るため、殺菌が行われる。使用法としては、他のクリーム、アパレーユ、シャーベットとの混ぜ合わせや、アントルメの飾りつけなどに使う。