【Junker】 「ユンケル」
東部ドイツの地主貴族に対する呼称。この言葉は本来〈貴族の若い子弟〉を意味する中世高地ドイツ語junchërreに由来するが,19世紀前半から,東エルベの保守的貴族に対する軽蔑の意味をこめた呼び名として広く用いられた。東エルベでは15〜16世紀以来,農民の賦役労働を用いて輸出用穀物を栽培する大農場が栄え,これをグーツヘルシャフトといった。この農場所有者グーツヘルは封建領主として農民に対し警察権,裁判権などの政治的支配権をふるった。グーツヘルシャフトの領主貴族が一九世紀前半に農奴解放などを経て変容。半封建的農場経営を基盤に第二次大戦まで官僚と軍部の要職を占め,軍国主義・保守主義の中核をなした。