宮内さんの作品は初めてで、本作「ラウリ・クースクを探して」は直木賞候補作にもなった作品。既に直木賞ノミネートは「盤上の夜」、「ヨハネスブルグの天使たち」、「あとは野となれ大和撫子」を含めて4回、更に芥川賞にも「カブールの園」、「ディレイ・エフェクト」で二回ノミネートされており、第一級の作家と言っていいでしょうが、どちらの賞にもいまだにたどり着いていないのは残念。 本作は、1991年のソ連崩壊に前後して独立したバルト三国の一つ、エストニアに生まれたラウリ・クースクというIT技術者が、国の独立した時期に少年期を過ごした第一部、独立後20歳前後になった経済混乱期の青年時代を描いた第二部、そしてロシア…