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ランサーエボリューション

(一般)
らんさーえぼりゅーしょん

1992年9月から2015年8月まで三菱自動車で販売されていた乗用車。通称「ランエボ」。

第1世代ランサーエボリューション(CD/CE型)

1992年9月、それまでギャランVR-4という大型セダンでWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた三菱は、さらに小さく、軽量なマシンが必要となった。そこで同社の小型セダン「ランサー」にギャランで培ったメカニズム、250馬力を叩き出す2リッターターボエンジン*1を押し込んだ「ランサーエボリューションI(CD9A型)」(当時はまだ通し番号はなく単に「ランサーエボリューション」と呼ばれていた)を開発。2500台の限定生産となったがすぐに売り切れ、さらに2500台追加販売された。


続いて1994年1月、初代の「曲がらない4WD」という不評を払拭すべく、三菱は機械式リアデフの採用、ボディ剛性アップ等々の改良を施した。結果、初代の汚名は返上され『曲がる4WD』、「ランサーエボリューションII(CE9A型)」が完成。
また馬力も260馬力にアップした。


1995年1月、ランサーエボリューションIII(CE9A型)が登場。高速化するWRCに対応すべくエアロパーツを大型化、さらに剛性アップが図られ、馬力も270馬力へとアップした。
このマシンでWRCドライバー「トミ・マキネン」はドライバーズチャンピオンを獲得した。

第2世代ランサーエボリューション(CN/CP型)

1996年8月、前年にフルモデルチェンジしたベース車であるランサーのボディを用いて「ランサーエボリューションIV(CN9A型)」が発売。新システム「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」の採用により更なるコーナリングマシンへの進化を遂げた。
だがそのAYCを搭載してしまったが為に作動異音やAYCフルード漏れなどが多発、修理代金も高額になる場合も多く三菱ディーラーとドライバーの頭を悩ませ続けた
足の動きも「重くてタルイ」という評価をされてしまい異音、故障が多発したAYCと相まって「エボ始まって以来の駄作」と言われるまでになってしまった
だが最後の5ナンバーモデル、上記の理由で中古価格も他に比べると非常にリーズナブルであることから根強いファンも多い
馬力はついに国内自主規制枠である280馬力へ到達した。


1998年1月に登場した「ランサーエボリューションV(CP9A型)」では前年に規定の変わり、改造範囲の広い「WRカー」規定でWRCに参戦するライバル達に、あえて改造範囲の狭い「グループA」規定で対抗すべくワイドボディ化し、3ナンバーへと移行。ブレンボ社製のブレーキキャリパーや、フロントヘリカルLSD等を採用し、WRCではライバル達と遜色ない活躍を見せた。


1999年1月、「ランサーエボリューションVI(CP9A型)」が発売、大きな変更点は少ないが、リアウイングの二段化など、エアロパーツのバージョンアップが施された。

「III」で初のドライバーズチャンピオンに輝いたトミ・マキネンはその後、「VI」まで乗り継ぎ、前人未踏のドライバーズチャンピオン四連覇を果たした。それを記念し1999年12月、「ランサーエボリューション トミ・マキネンエディション」を発売。ターマック(舗装路)に特化したモデルで、フロントに埋め込まれたフォグランプの換わりに専用のフロントバンパーを装備していた。

第3世代ランサーエボリューション(CT型)

2001年2月、前年にフルモデルチェンジをし「ランサー・セディア」となったベースモデルを用いて「ランサーエボリューションVII(CT9A型)」が登場。ビスカス式センターデフに代わりACD(アクティブ・センター・デフ)」が搭載、スイッチ一つで路面に適したトルク配分を行うことが出来る装置である。

また「VII」ではついにオートマ仕様の「ランサーエボリューションVII GT-A」を販売。おとなしめのエアロパーツ、AT仕様にデチューンされた272馬力のエンジンなど、一見スペックダウンに見えるが、それでも過激なモデルには変わりなかった。


2003年1月、「ランサーエボリューションVIII(CT9A型)」が発売。フロントフェイスを他の三菱車と共通のデザインにリファインされた*2のがビッグニュース。
またリアウイングはついにカーボン製に、「AYC」が改良を施され、「スーパーAYC」へと進化、等々、メカニズム面での改良も見逃せない。


2004年2月、「ランサーエボリューションVIII MR」が登場。エクステリアに大きな変更点はないが、ビルシュタイン社製ダンパー、ルーフのアルミ化など、見た目以上の進化が施されている。


2005年3月、現時点での最新モデル「ランサーエボリューションIX(CT9A型)」(右上写真)が発売。VIII MRのコンポーネンツをベースに、連続可変バルブタイミング(MIVEC)の採用、チタンアルミ&マグネシウム合金ターボチャージャーなど、エンジンにさらなるファインチューンが施される。

外見上では、不評を呼んだいわゆる「ブーレイ顔」が廃止されたのが最大のトピック。その他、フロントバンパーが新形状となったほか、リアバンパー下もディフューザー形状となる。また、リアの車高を5mm下げ、接地性の向上を図っている。

なお、このモデルでは、従来の「GSR」「RS」の2グレードに加え、2005年WRCグループNのホモロゲーション取得予定モデルとして「GT」グレードが追加されている。

また同年9月にはこのIXをベースとしてランエボシリーズ初のワゴンモデルである「ランサーエボリューションワゴン」を発売(2500台限定)。ワゴン需要に応えるべく、GT-Aで採用されたATモデルも登場。グレード構成は「GT」とATモデルの「GT-A」の2種類。スペックもIXにほぼ準拠する。


2006年8月、4G63エンジン搭載最終モデルである「ランサーエボリューションIX MR」が発売。ACD、スーパーAYCの容量も増大。

第4世代ランサーエボリューション(CZ4A型)

2007年10月、フルモデルチェンジとなる「ランサーエボリューションX(CZ4A型)」が発売。このモデルはエボシリーズ初の4B11エンジンを搭載し、軽量化に成功。新機構として「S-AWC」と「ツインクラッチSST」が盛り込まれ、更なる電子制御の進化を遂げている。


2014年3月、三菱自動車から販売不振などを理由に、ランエボの10代目限りでの生産終了がアナウンスされる。ツインクラッチSST搭載モデルは2014年度をもって生産終了となり、5MT搭載モデルはユーザーの要望もあり当面は生産継続となっている。


2015年4月、三菱自動車からCZ4A型の最終モデルである「ランサーエボリューション ファイナルエディション」を1000台限定で8月に発売されるとアナウンスされる。
このモデルではエンジンのナトリウム封入エキゾーストバルブの採用による最高出力を向上と中高速域の伸びの改善、従来オプションであったハイパフォーマンスパッケージの標準装備、及び専用の内外装の装備がが図られている。
この最終限定モデルを以って、ランサーエボリューションの23年の歴史は幕を閉じる事になった。

  • 発売開始当初からWRC等で雌雄を決しているライバルである富士重工業(スバル)の「インプレッサWRX」との、年に一度のモデルチェンジ競争により、この二台の車はとんでもないハイスペックマシンへと変貌を遂げている。現在もこの二台のモデルチェンジ毎の進化はとどまることを知らず、既に2リッタークラスのセダンでは「異常」とも言えるスペックを持っている*3。しかし、片や、元々「ただの」小型セダンにハイテク機器や補強を重ねに重ねたランサー、片や、低重心・コンパクトな水平対向エンジンを搭載し、当初からWRC参戦を視野に入れ開発されたインプレッサと、ベース車種の成り立ちは大きく異なる。だが、現在のこの二車のスペックを比べ、「どっちが凄いの?」と聞かれれば、こう答えるしかない。「どっちも凄い。」、と。

*1:4G63型エンジン。1982年にWRCにスポット参戦した「ランサーEX2000ターボ」というモデルに搭載されていたエンジン(当時はG63Bという名称だった)が改良を施され、10年後、こうして再び「ランサー」に搭載され、WRCにて世界を相手に戦う事となったのは何とも言えない因果な話である。ちなみに2007年10月に「ランサーエボリューションX」が登場するまでこの4G63型エンジンは搭載されていた。25年もの間、最前線で活躍していたこのエンジンはまさに「名機」と言っても過言ではないだろう。

*2:いわゆる「ブーレイ顔」と呼ばれるもの。それまでは通称「ガンダム顔」と呼ばれていた。デザイン的にも、また冷却性能にも難があるため不評であった。

*3:このようなハイスペックのモンスターマシンが300万前後で買えてしまう国は世界中どこを探しても日本だけである。諸外国のカーマニアにとっては垂涎モノで、イギリスなどではGT-Rなどと同様に並行輸入中古車の市場が成立している。

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