八角関係 (論創ノベルス) 作者:覆面冠者 論創社 Amazon 河内家の三兄弟、秀夫(35)、信義(32)、俊作(29)は父親の遺産を三等分し、それぞれ事業に投資して生まれた利潤で気楽な、惰眠をむさぼる生活を送っている。秀夫の妻鮎子(25)、信義の妻正子(22)、俊作の妻洋子(26)とともに、父が遺した大邸宅の別々の部屋に住んでいた。三組とも子供はいない。洋子と雅子は実の姉妹である。女中はおらず、三人の妻は仲良く家事を行っていた。正月の十日過ぎ、洋子からのお願いで空いた部屋に姉夫婦が住むこととなった。姉の野上貞子(30)は探偵作家、その夫丈助(34)は捜査課の警部補であった。そして四組の夫婦…