序文・洗礼名ジュスト 堀口尚次 高山右近〈天文21年- 慶長20年〉は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名である。代表的なキリシタン大名として知られ、カトリック教会の福者でもある。父は摂津国人・高山飛騨守。 右近の生年は日本側の史料に所見がなく、外国側史料でも一致しないが、後世キリシタンとして有名となる右近であるが、早くも永禄6年に10歳でキリスト教の洗礼を受けている。それは父が奈良で琵琶法師だったイエズス会修道士・ロレンソ了斎の話を聞いて感銘を受け、自らが洗礼を受けると同時に、居城沢城に戻って家族と家臣を洗礼に導いたためであった。右近はジュストの洗礼名を得た。 右近は人徳の人として…