英文学者、東京大学准教授。1966年神奈川県横浜市出身。 1989年東京大学文学部英文科卒、92年同大学院人文科学研究科英語英米文学専攻修士課程修了、東京大学文学部助手 、1993年4月、帝京大学文学部助手、1997年ケンブリッジ大学大学院英語英米文学専攻博士課程修了、Ph.D.。同年帝京大専任講師、2001年東大人文社会系研究科助教授、2007年准教授。1998年小説「荒れ野に行く」で早稲田文学新人賞受賞、2013年『文学を〈凝視〉する』でサントリー学芸賞受賞。
ランキング参加中読書 ちょっと背伸びして英詩を読んでみた。自分が普段目にする英語とはまるで違う単語が出てきて、詩自体は短いのに散文以上に辞書をひく回数が多い。Roger McGough というユーモラスな詩人の本だったのだが、そのシャレとなっている部分が辞書をひいてやっとうなづけるというレベル。どこか落語のオチを説明を受けて合点するのに近いものある。笑える部分もこうなると笑えない。 英詩のわかり方 作者:阿部 公彦 研究社 Amazon で、手に取ったのがこの本と言いたいところだが、実は少し手をつけはじめていた。思った以上に英詩が手強かったので、真剣に読んでみようという気にはなったが、これを読…
あまり勉強勉強しているのはかなわないが、これならアリと読んでみた。阿部公彦さんが、6作の古典プラス村上春樹さんの短篇をもとに、作品鑑賞から英文の読解まで楽しませてくれる。いずれも抜粋だが、これ以上あると疲れるのでちょうどいい。「ロビンソン・クルーソー」「ガリヴァー旅行記」「高慢と偏見」「黒猫」「リッチ・ボーイ」「老人と海」、そして、村上春樹「シェエラザード」。たぶん「リッチ・ボーイ」のフィッツジェラルド以外の説明は不要だろう。あえて書けば、デフォー、スウィフト、オースティン、ポオ、「リッチ・ボーイ」を飛ばして、ヘミングウェイ。 英文学教授が教えたがる名作の英語 (文春e-book) 作者:阿部…
10年前の岩波の「図書」(2011年6月号18-20頁)にこんな記事が出ていた。 阿部公彦(まさひこ)著「しようと思ったことができない病」「...ひとりで運転しているとどうしても、CDの設定だの通算走行距離距離だの信号機の形だの道路沿いのガソリン価格競争だのと、どうでもいいことに目がいってしまう。それでいて長時間高速などを走っていると眠くなる。危なくて仕方がない。 ...本を読むときも本を読むことだけに集中した方がいいに決まっている。(が、できない。いろいろ考えてしまう。本が速く読めない。。。。)」 この阿部公彦という方はりっぱな英文学、それも英米詩の専門家先生のようだ。最近では、 鳥飼玖美子…
4/24 (水)19:30 - 21:30 秋草俊一郎×戸塚学×阿部公彦「国語教科書の潜在力――これからの文学教育」『教科書の中の世界文学 消えた作品・残った作品25選』(三省堂)『文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために』(集英社)W刊行記念 本屋B&B https://bb240424a.peatix.com/ 教科書の中の世界文学: 消えた作品・残った作品25選 三省堂 Amazon 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために (集英社新書) 作者:阿部公彦 集英社 Amazon
紳士協定を壊したリベラルとその後の地獄絵図が主題です。 今回起きた事件の経緯 安倍総理に対する演説妨害を、「小さなヤジ」「市民の声」「表現の自由」と擁護、称賛し、大切に大切に守り育てたら、つばさの生えた大きなヤジに成長しました。ヤジは今日も元気に民主主義を破壊しています。育てた親は「選挙妨害は許されない」と怒っています。めでたしめでたし。という現代の寓話。 — 楽蛙 (@Timeline_Frog) April 22, 2024 選挙を合法的に妨害する方がリベラルによって発明された。今度はリベラル側がその妨害をされている。ブーメランである。 自民党はそれを否定した。妨害する人をこんな人たちと言…
去年同様、花見は三度。初めは板宿『Calme』主催で、月見山『南天』の心づくしの弁当が出た。二度目は飲みグループの持ち寄り会、そして自宅での一人花見と、図らずも毎回異なる趣向となった。 暇人には珍しくそれ以外にもお誘いが多く、ために今回は(も?)書名の列挙にとどまる。 ○袁珂『中国神話史』(佐々木猛訳、集広舎)○『ポスト・モンゴル時代の陸と海』(「アジア人物史」第6巻、集英社)○アイヌ民族博物館・児島恭子『アイヌ文化の基礎知識 増補・改訂版』(草風館)○慶應義塾大学附属研究所斯道文庫『訂正新版 図説 書誌学』(勉誠社)○佐々木浩『祇園さゝ木一門会 師弟セッション』(クリエテ関西)○トマス・アク…
『教科書の中の世界文学――消えた作品・残った作品25選』(三省堂)の刊行を記念して、共編者の戸塚さんにくわえ、『文章は「形」から読む――ことばの魔術と出会うために』(集英社新書)を刊行された阿部公彦先生と本屋B&Bでイベントを開催することにしました。 秋草俊一郎×戸塚学×阿部公彦「国語教科書の潜在力――これからの文学教育」『教科書の中の世界文学 消えた作品・残った作品25選』(三省堂)『文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために』(集英社)W刊行記念 トピックとしては ・戦後の国語教科書と世界文学・国語教科書のちょっと変わった「読み方」・学習指導要領の読み方・料理本のレシピや契約書を「形…
阿部公彦「文章は『形』から読む」 集英社新書より学習指導要領を読む を読み、考えをまとめてみました 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために (集英社新書) 作者:阿部 公彦 集英社 Amazon 「論理国語」論争 社会から「社会に出たときに接するような文章」をもっと扱えという声が高まり、駐車場の契約書、著作権についての法律の条文が例として示される 新学習指導要領で「論理国語」論争が起こる「論理国語」ー「社会に出たときに接するような文章」を国語教育に取り入れる科目これは「論理的な文章」や「実用的な文章」を中心に、文学的な文章を排除するもの生徒は文学作品に接する機会が減るー批判筆者は「論…
『事務に踊る人々』、阿部公彦、2023年9月、講談社。 ・「誰も心に『事務センサー』を持っている。」 ・「事務モードを感知してたちまち心は陰る。」 ・事務処理を怠ると机上、部屋は乱れる。
哲学入門読書会で最初に選んだ六冊が 2024年秋には読み終わるため、第二シリーズの書籍選定をおこなわねばなりません。 次期選書の大まかな方針としては、 極めてよく売れた・難しくない哲学の本で、かつ中高国語科教師の好きそうなもの:三冊 (できれば「読者」という歴史的存在者に関する歴史的反省を含む)読書論:三冊 というところまでは決まっています。 哲学書の候補 柄谷行人『哲学の起源』(岩波書店, 2020) ISBN:4006004133 浅田彰『構造と力』(勁草書房, 1983→中央公論新社 2023) ISBN:4122074487 永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み:哲学的諸問題へのいざな…
阿部公彦先生よりご著書を御恵送賜りました。どうもありがとうございます。 阿部公彦『文章は「形」から読む――ことばの魔術と出会うために』集英社新書 www.shueisha.co.jp 文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために (集英社新書) 作者:阿部 公彦 集英社 Amazon
五時四十分起床。左目はまだ赤く、昨日とほとんど変わっていないものの、まぶたの上から触れた時の痛みは落ち着いた気がする。普通に洗顔。 昨日は仕事できなかったので、今日は朝から手を動かした。某葬儀業者の案件をひたすらに。 夕方、ウォーキング。妻は今年の花粉症は楽だと言っている。おそらく一年くらい治療しているから、効果が出ているのだと思う。スーパーの「ライフ」で葵用のまたたびの枝を購入。何年ぶりに買ったかなあ。 マルカン またたびの木 CT-10 マルカン Amazon 戻ってから作業再開。ひとまず予定していたところまでは終わった。 阿部公彦「父たちのこと(1)」(「群像」2024年4月号掲載)。人…
昨日に続いて、今日も図書館で作業。論文の第一セクションまで終える。論述の流れが少し微妙な箇所がひとつあるが、最後まで書き終えてからもう一度検討することにした。その後は読書会の予習をして、開架されている棚を見て回る。新年度の授業の参考になりそうなものを三冊ほど借りて帰宅。今日は歩きで、それ自体は思っていたほどの距離でもなかったものの、ここ数日の目が痒いのが悪化して仕方なかった。時期的に花粉症かもしれない。 以下、借りた本。 朝比奈緑『詩が語るアメリカ——多様なる声への誘い』(小鳥遊書房、2022) 詩が語るアメリカ: 多様なる声への誘い 作者:朝比奈緑 小鳥遊書房 Amazon 以前から気になっ…
2月下旬の日記(2024年2月16日から2月29日分) 3月1日日付が変わってから2月下旬分の日記をアップする。誕生月になったので今月でひとつ年を重ねることになる。昔自分がイメージしていた大人とは程遠いが、そこまで悪くはない人生というか楽しくやってはいる。でも、年齢だけでなく、時代や社会の変化が急激に変わる部分とゆるやかに変わる部分がある。それらに翻弄もされるし、確固たる自分というほどのものはなくても、陰謀論や宗教にハマったり、ネトウヨ化したり極左になったり、インフルエンサーに踊らされることもなく、なんとかほどほどにやっている。現時点では自分がそうであっても周りの人たちがいつかそういう状況に陥…
五時四十分起床。高校時代の友人が二人出てきた。一人はなぜかキンキラキンの袈裟を着ていた。だが髪は長い。 目覚めるやいなや、寒い寒いと言いながらエアコンのスイッチを入れるということがだんだん少なくなってきた。今朝はそれほど冷え込まず、外を歩けば目につく桜の蕾や開き始めた木蓮に、早すぎるんじゃないかと違和感を感じるような、頑固な冬の名残のようなものはほとんど残っていない。 仕事。今日はほとんどメールや電話がなく、腰を据えて作業。とはいえ、わずかに届いた数本のメールで状況がガラリと変わるなど、慌ただしさはある程度残っているようで、これがいかにも期末らしい。 夕方、妻と軽くウォーキングがてらOKマート…
事務とは、手続きであり、プロトコルであり、フォーマットであり、プロセスであり、契約であり、説明責任であり、会計であり、ブロックチェーンである。要は、「正しさ」を求める一連の行為である。 この一連の行為において我々は「正常」でなければならず、まどろんだり、モヤがかかっていたりしてはいけない。パッキリキッカリ明晰でなければならない。こうした事務的であること=官僚的であることとは、正しさがもたらす恩恵を受ける便益のためであって、普遍性のある行為だ。元来、求められてきたのだ。 しかし、事務があることが当たり前な時代になって、事務は嫌われることになる。形式的であり、曖昧さが許されず、合目的的一辺倒なのだ…
編者:滝浦 真人 編者:椎名 美智 著者:阿部 公彦 著者:大塚 生子 著者:佐藤 亜美 著者:滝浦 真人 著者:福島 佐江子 著者:柳田 亮吾 装丁:坂野 公一[さかの・こういち](welle design) 件名:ポライトネス(言語学) 件名:善悪 NDC:801 言語学 ひつじ書房 イン/ポライトネス 滝浦真人・椎名美智編 イン/ポライトネス—からまる善意と悪意ひつじ書房Amazon 【目次】 目次 [iii-iv] 序論 日本(語)でイン/ポライトネス研究が必要な理由〔わけ〕[滝浦真人] 001 1. 本書の目指すところ 001 1.1 日本語コミュニケーションにおける「3つの偏重」 …
ひとつの時間の中にあって幾億も重なる昼と夜 ーー小沢健二「ブルーの構図のブルース」 朝、行きのくだりの坂道から思う些事を帰りの電車で思い出して書き留めるまで、半日以上の時間が流れているはずなのだが、あたかもその半日以上の時間は身体から切り離されてしまったかのように意識から抜け落ちている。ゆっくりした時間がなければ考えごとは進まない。ごはんを食べてお風呂に入って歯を磨いて、あとはもう寝るだけというタイミングがよく考えがはかどるのだけれど、あるとき「集中している状態というのは忙しなくしているときではなくて、ぼーっとしているときなんだ」と説くひとがいて、こうして夜更けにまとまった「文」のかたちで想念…