翻訳家。1960年鹿児島生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。
丸善雄松堂の企業PR誌『學鐙』に寄稿しました。3/5発売の學鐙春号(Vol.121 No.1)に掲載されます。學鐙 2024年 03 月号 [雑誌]丸善雄松堂Amazon特集『いまそこにある問いと謎』にちなみ、マラニー&レア『リサーチのはじめかた』の書評を担当しました。 トーマス・S・マラニー&クリストファー・レア『リサーチのはじめかた ――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法 (単行本)』 安原和見 訳、筑摩書房 一つの本を三人が書評する「一書三評」というコーナーで、他二人の評者は 宮野公樹さん と 平山亜佐子さん だとのことです。 私の書評では末尾にちょっとした異論を記しましたが、15…
読んだ本 『ヒトラーの馬を奪還せよ 美術探偵、ナチ地下世界を往く』 アルテュール・ブラント 安原和見訳 筑摩書房 第二次世界大戦時、ヒトラー官邸前に置いてあった一対の馬のブロンズ像をめぐるノンフィクション。 高さ3メートル超、重さ1トン。まさかこんな大きいものが現存するなんて! 美術品のブラックマーケットに突如現れたヒトラーの馬の真贋を見極め奪還するため美術探偵が活躍します。 ナチ残党、ネオナチ、東ドイツのシュタージ、旧ソ連のKGBなど、たくさんの人々の思惑が入り乱れノンフィクションとは思えないほどの目まぐるしい展開に。 帯にあるとおり「事実は小説よりも奇なり」な本でした。 次はどんな本を読も…
1月は正月休みがあって読書が捗った。自宅のライブラリから9点と、レンタルしたマンガ『へうげもの』全25冊を読み通した。 活字の本は1冊につき2〜3時間、マンガは字の多いものでも1冊30分で読めるのがわかった。自宅で1日30分を目標に読書しているのとは別に、通勤中や移動中にはKindleを読んでいて、そちらも大体1日30分ぐらい読んでいるようだ。 なので「ここに掲載している倍くらい読んでいる」というのが最近の実績だ。 これまで読書を数量的に把握することはせいぜい「月何冊読んでいるか」数えるくらいのもので、細かくはやっていなかったので、実際やってみるとおもしろい。 1. リサーチの始め方 2. 調…
アルテュール・ブラント 訳・安原和見 筑摩書房 2023.7.30読書日:2024.1.2 ヒトラー総統の官邸にあり連合軍の空爆により破壊されたと思われた馬の彫刻が、70年後の2015年に発見された経緯を述べた本。 美術界は魑魅魍魎の世界で、有名な作品が、今どこにあり、正式な持ち主が誰か分からないことも多い。最近では、フリーポート(保税倉庫)というグレーゾーンの領域に美術品が次々に飲み込まれて、二度と世間に出てこないのではないかと言われているものも多数ある。 www.hetareyan.com でも、こういうところにある美術品って移動させやすい大きさのものがほとんどだろう。ところが今回の捜索の…
出店の状況・会場の様子 出店の所感 私の問題と出店名 買ったもの(抜粋) 東京以外の文学フリマへの参加は初めてでした。前々からやってみたいと思っていたものの、東京に出てしまうとなかなか新しい冊子を作るタイミングが合わず、躊躇していました。しかし前回の文学フリマ東京には出店しないことを決めていたため、なんとか今回の京都合わせで冊子をひとつまとめることができました。 dismal-dusk.hatenablog.com 出店の状況・会場の様子 Webカタログに載っていたブースは600ほどで、東京の半分ほどでした。一つずつ詳細に調べていくと、意外と東京にも出られていた方が多かった印象です。ただ学生サ…
欧州美術界が抱える深い闇に迫る一冊。 最近も、英国ロンドンに位置する大英博物館から貴重な品々が盗難されるという事件が発生し、盗難美術品というのが麻薬や武器に匹敵するほど世界の裏経済を支える商品の一つとなっていることが明らかになった。美術品の盗難に対抗するため、世界の警察は昼夜を問わず捜査を続けている。それに加えて、美術専門の調査を行う「美術調査員」の存在も知られるようになり、彼らの尽力によって失われた作品が見つかることもある。 本書で取り上げられているのは、そうした美術調査員の中でもオランダ出身の一人の調査員が遭遇した奪還ミッションである。この調査員が直面したのは、ナチス・ドイツの時代にまつわ…
Aについて、時間内で、今の力でできるかぎりのところまで。終えて、 Bについて、名前と道のりがぼんやり見えて唐突に嫌になった。Aをとりあえず終えて疲れたからだと思う。もうほんとうに嫌だ。そして、嫌、で、それをやめてもいいし続けてもいい、というところを続けてみようと思っている。朝。 今までのいろいろな続けかたと同じだけれど、少し、大きく、違う。選ばなかった、選べなかった、知らなかった、届かなかった、ところのものを、そちらの名前と道のりに「どうせ」包摂されつつ私は私の必要があって知りたいので続けるのを選ぶ、苦しまぎれに、ということ。 包摂されつつ、どうすればいいか、どうふるまえばそのようになれるか分…
読書が計画通りに行きません。無念です。でももう、しょうがないかなと諦めてもいます。日本語日本文学専攻のわりに読むのが遅く、せいぜい週に二冊というところなので、あまり欲張って計画倒れが重なるのも切ないです。今年は一層、快適さ重視で読書を楽しみたいです。 2023 年はよい本を読めました。「なんだかなー」と思うような本は一冊しかありませんでした。運が良かったです。今後も運頼りにどんどん読みたい。 以下、印象に残った本の読書メモです。 🚋 金井真紀『日本に住んでる世界のひと』、岡真理『ガザに地下鉄が走る日』🚋 2024 年最初に見た映画は『イミテーション・ゲーム』(2014 モルテン・ティルドゥム)…
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 1日遅れての更新になってしまいましたが、週刊読書マラソン第5号は、トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア『リサーチのはじめかた―「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法―』(安原和見訳、筑摩書房、2023年)です。 極めて広いくくりでいえば、研究方法論の本とも言えなくはないですが、研究対象に迫るメソドロジーの本でもなければ、『できる研究者の論文生産術』のような研究生活の方法論というのとも異なる本で、どちらかといえば研究を始める前の問いの磨き方のような本です。題名の通り、研究を始める手順みたいな感じで、リサーチクエスチョンを…
2023年も終わりが近づいてきたので、下半期に読んだ本のなかから良かったものを10冊選んでみました。ノンフィクション5冊、フィクション5冊です。*1 全体的に分厚いノンフィクションを読んでいる時間が長くて、小説はやや少なめでした。 ノンフィクション 伊藤憲二『励起 仁科芳雄と日本の現代物理学』(みすず書房) 仁科芳雄の本格評伝。ベストはこれ。感想はこちらに。 kinob5.hatenablog.com イレネ・バジェホ『パピルスのなかの永遠 書物の歴史の物語』(訳・見田悠子、作品社) スペインの古典文献学者による書物の歴史。体系的な歴史というよりは、ギリシアとローマを起点にして縦横無尽に語るよ…
今年は、以下の5テーマに沿った読書がメインでした。(90冊前後)。 小説 小説の種本 半導体(おしごと) コンサル本(おしごと) 精神の健康 その中からそれぞれ1冊ずつ選んで紹介します。 『ギケイキ 千年の流転』(町田康) 『習得への情熱―チェスから武術へ』(ジョッシュ・ウェイツキン) 『半導体戦争』(クリス・ミラー) 『リサーチのはじめかた』(トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア) 『反応しない練習』(草薙龍瞬)
【令和5年12月13日】 普段の生活で扱うことのない「銃」。その特性と対処法を知っておけば、危険を回避する確率を上げることができます。わたしは元自衛官。銃を扱った経験をもとにお伝えします。是非ご覧ください。 お疲れ様です。自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。 12月も中旬に入りました。 そろそろ今年のカウントダウン…なんて時期になりましたね。 暖かい日が続いていますが、海外では何やら肺炎の様な病気が流行りつつあるというニュースも拝見します。 体調には十分注意して過ごしましょう。 さて、前回のブログでは銃や爆発物に関する事件に、遭遇し…
【令和5年12月6日】 銃や火薬が規制されている日本であっても、起こらないとは言えない銃や爆発物の事件。滅多にないことですが、備えがないと動けません。まずはいざという時のマインドセットからお伝えします。是非ご覧ください。 お疲れ様です。自衛隊卒のセラピストの岡田 凰里(おかだ おうり)です。ブログを読んで頂いてありがとうございます。 10月、11月とブログはお休みしていました。 お休みを頂いてありがとうございます。 あっという間に師走の12月になりました。 11月は暖かい日がかなりありましたが、12月に入ってからはグッと気温が下がりましたね(^^; 朝晩と日中の寒暖差が激しいので、体調管理に気…
本の感想のリアルタイムなまとめは Mastodon 限定コンテンツですが、外向けにもまとめておきたくなったので。定期的にやるかは不明です。 ①『結局、仮説で決まる。』(柏木吉基)②『リサーチのはじめかた』(トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア)③『中国茶の教科書』(今間智子)④『データ分析に必須の知識・考え方 認知バイアス入門』(山田典一)⑤『口訳 古事記』(町田康)⑥『ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語』(ヴィトルト・リプチンスキ)⑦『命売ります』(三島由紀夫)⑧『ジャズの聴き方を見つける本』(富澤えいち)⑨『なぜAppleは強いのか 製品分解からわかる真の技術力』(清…
土曜日です。 昨日に引き続き、出張の準備を家でほそぼそとしました。お昼は外食です。夕方は本を読みつつ、作業(直し作業)です。まだ本は読めていません。 リサーチのはじめかた ――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法作者:トーマス・S・マラニー,クリストファー・レア,安原和見筑摩書房Amazon 夜は軽くジョギングをして、作業の続きをするとなんとか少し進みました。頑張らないとダメですね…。 頑張ります。