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安定ヨウ素剤

(サイエンス)
あんていようそざい

一般的に医薬品ヨウ化カリウムの丸薬および内服液を指す。

概要

原子力災害で放出される放射性ヨウ素を、人が吸入し身体に取り込むと、放射性ヨウ素は甲状腺に選択的に集積するため、放射線の内部被ばくによる甲状腺がんなどを発生させる可能性がある。この内部被ばくに対しては、安定ヨウ素剤を予防的に服用すれば、放射性ヨウ素の甲状腺への集積を防ぐことができるため、甲状腺への放射線被ばくを阻止・低減させる効果がある。
甲状腺に放射性ヨウ素が取り込まれる前に安定ヨウ素剤を服用すれば、そのタイミングと服用量に従って甲状腺の被ばく線量が阻止あるいは低減される。

注意点

ただし、安定ヨウ素剤の服用は、甲状腺以外の臓器への内部被ばくや希ガスなどによる外部被ばくに対して、放射線影響を防護する効果は全くないことに留意する必要がある。
また、放出された放射性ヨウ素の吸入を抑制するためには、屋内へ退避し窓などを閉め気密性に配慮すること、放射性ヨウ素の影響の少ない地域への避難などの防護対策を適切に講じることが最も重要である

その服用のタイミングとしては、吸入前に服用するとほぼ完全に甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み率を阻止できるが、余りにも早くから過剰の安定ヨウ素剤を服用しても効果はない。また、吸入後8時間程度までならば、安定ヨウ素剤単回服用により40%近く甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みを軽減させることができる。
しかし、すでに吸入後24時間以上を経過している場合には、安定ヨウ素剤を服用しても甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み阻害効果はほとんどない。

症状例

チェルノブイリ事故直後のポーランドにおけるヨウ素剤配布の例や、医療現場におけるヨウ素剤の使用経験などから、単回服用での重大な副作用の発生は極めて稀である。報告された事例からは、火照り感、皮疹、頭痛、関節痛、胸やけ、吐き気や下痢などの症状がある。
なお、事故時の緊急避難という特異な周辺環境下における心理的な不安や、心身症的な症状が副作用と見誤られることもあり、医師らの判断を仰ぐ必要がある。

服用

服用は原則1回とする。
安定ヨウ素剤の効果が1日は持続することが認められていることから、1日1回の服用で充分である。2日目に安定ヨウ素剤の服用を考慮しなければならない状況では、避難を優先させる。

推奨年齢

安定ヨウ素剤の服用は、40歳未満の者を対象とする。
40歳以上では、放射線被ばくにより誘発される甲状腺発がんのリスクが認められないことから服用対象者とはしない。

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