若き日の一時期、なんとかして理解しようとムキになってはみたものの、容易には歯が立たなかった本というものがある。今想えば、肩の力を脱いて、平易に読めばさほどの本でもなかったものを、未熟ゆえにそうはできなかったという苦い思い出である。それもこれも手遅れだ。再読もしくは参照の機会ありそうなものだけを残して、おおかたを処分する。 吉本隆明については、初期評論からは『藝術的抵抗と挫折』『高村光太郎』『言語にとって美とは何か』(全二巻)のみを残す。また『源 実朝』『最後の親鸞』を残す。他は出す。『情況』のような時局的発言もあったが、拙宅内のどこに収納したものか、今即座には出てこない。見つかったら順次出す。…