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一味神水

読書

一味神水

いちみじんすい

南北朝内乱以降荘園の解体と平行して農村に生まれた地域的な自治組織(惣村、郷村)で、村掟や逃散、一揆の蜂起など重要な意思決定の際に行われた儀式。起請文を焼いた灰をまぜた水杯を飲み交わし、一味同心を神仏に誓約する形をとった。

鎮守の社に集まって農民たちは、横暴な荘官の解任や、年貢の減免を要求する方針など自治レベルで決定し、その団結力を高めるために、イタリア人が小指を詰めあったように、イスラム系暗殺者たちが「ハッシシ」を呑んで「アサシン」したように、スローガンと寄せ書き署名の「起請文」を焼いて微粉状態にした灰を水で溶き、皆でこれを飲んだ。

起請文には血判がおされ、あるいは首謀者不明な“端の無い”「傘連判状」〔からかさレンパンジョウ〕などに発展していく。また、そうした村人たちの集団;「惣」のなかで「塾」まで行かないながら原理主義的な儒学実学を研究する市井の組織も自然形成され、有志ばかりの活性化集団;「ガバナンス」が既に実践されていたのである。と同時にエリアス・カネッティの提供した群集心理をそのまま撫ぞり、エスカレートして秘密結社のような暗躍もしたのである。表面化すれば優秀な武士団や、あるいは盗賊であり、影のままだと琉球中国武術も取り入れた「忍者」などへ…の途をたどった。