磨かれた斧 旧石器時代の定義を覆す発見が、日本列島で相次ぎました。刃の部分を研磨した局部磨製石斧の発見です。この時代には、磨製石器がなく打製石器を用いていたという主要な定義のひとつは、完全に見直しをかけられることになりました。しかも、この局部磨製石斧は、後期旧石器時代の幕開けを飾る古い石器であることがわかっています。 長野自動車道を新潟方面に向かい、ナウマンゾウの湖で知られる野尻湖へとさしかかるゆるやかな坂の真下で、1993年、60点もの局部磨製石斧を出した日向林B遺跡の環状ブロック群の発掘が始まりました。60点の石斧は遺跡から50~60キロほど離れた新潟・富山・長野県境に産出する蛇紋岩類で作…