陰謀史観

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陰謀史観

いんぼうしかん

史観歴史観)の一種。「陰謀論」の同義語として用いられることも多い。

歴史観について辞書を引くと、「歴史的世界の構造やその発展についての一つの体系的な見方。観念論的な見方のものと唯物論的な見方のものとに大別することができる。史観。→唯物史観 →精神史。」(広辞苑より)と出ている。

この伝に倣うのであれば、陰謀史観は「陰謀論的な見方に基づく史観」になる。


史観とは歴史をどういう切り口で分析するかという方法論であり、例えば唯物史観は「突き詰めれば生産手段の組織化の形態が歴史を動かすのだ」という立場で歴史を見る。

陰謀史観は、何等かの陰謀によって歴史が動かされていると見なす立場に立つ。すべての陰謀を企画している何等かの黒幕の存在を前提することが多いが、必ずしも必要ではない。


太平洋戦争ルーズベルトの陰謀だ」にしても、

  1. 第二次世界大戦に参戦できないので日本を挑発して戦争を誘発させた」だけで終わる場合*1
  2. 「実は当時の合衆国上層部には大量のソヴィエトのスパイが入り込んでいて、彼らに操られて合衆国は戦争に突入したのだ*2
  3. ルーズベルトユダヤ国際陰謀結社によってコントロールされていたが(中略)最後は結社の邪魔になったので消されたのだ*3

以上のように、これらをすべて「陰謀史観」の一言で括ることも可能だが、どちらかというと「いわゆる『陰謀史観』」としてカギ括弧付きで扱われることも多い。

なんとなれば陰謀の存在を信じてまじめに歴史を研究している当の本人からすれば、

「私の考えが陰謀史観なのではない。従来の歴史が(故意に、もしくはたまたま)見落としていたことを研究しているだけだ*4

ということになる。

「それを陰謀史観と呼びたければ呼べばいい」まで開き直れる人はそれほど多くない。

そもそも研究が進んで陰謀の存在とその影響が証明されれば(ふつうは)それは「陰謀史観」でなく「正史」になる*5

*1:今日的には割とありふれた見方かもしれません。もっとも、ドイツ宣戦布告してこない可能性を考えはじめると、それはそれで疑問が残りますが

*2ソヴィエト陰謀説。いたかいないかで言うとスパイはいたとは思いますが

*3ユダヤ陰謀説。さらにヒトラーユダヤ人だったり、さらに飛躍してロンギヌスの槍の話に飛んだりすることもあるので、この単語の中身も細分化するべきかもしれません

*4:「だから○○が地球を支配してるという与太話と一緒にされるのは迷惑だ」

*5第二次世界大戦暗号解読が与えた影響とかは、機密解除が進むまでは分からないことだらけだった(というか今日でも分からないことは残ってる)ので、陰謀論と紙一重ぐらいの領域と見なされることもあったように思います

読書

陰謀史観

いんぼうしかん

陰謀史観 (新潮新書) – 2012/4/17 秦郁彦 (著)

陰謀史観 (新潮新書)

陰謀史観 (新潮新書)