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液体呼吸

(一般)
えきたいこきゅう

ほ乳動物の肺が行う、体内のエネルギーを燃やすために必要なガス交換(酸素と炭酸ガス)を気体ではなく、液体に置換えた状態で行う方法。


新生児が母体内において羊水によって呼吸していることをヒントに、1962年にオランダの生理学者キストラ教授が液体から酸素を供給しつつ二酸化炭素を除去できる事を実証した。
この実験においてキストラは、高い分圧の酸素を溶解した生理食塩水の中にラットやマウスを沈め、液体呼吸によって18時間の生存が可能であることを証明した。しかしその後の研究で、生理食塩水では二酸化炭素の除去が不充分である事が明らかとなったため、現在ではパーフルオロカーボンを用いている。
パーフルオロカーボンは、フッ素と炭素からなる不活性の液体化合物である。この液体は水との比較で約20倍の酸素溶解度を有し、かつヘモグロビンの数倍もの二酸化炭素運搬能力を持つ。
現在では、マウス、ラット、犬、及び人間によってこの液体呼吸が実施され、いずれも成功を収めている。スウェーデン、アメリカ、フランスなどでは、現在もこの液体呼吸による生理的影響の有無や、呼吸媒体の効率性や安全性の向上といった研究が続けられている。また、重度の火傷患者の呼吸確保といったケースで実験的な治療方法としても用いられているようだ。
この液体呼吸が実用化されれば、水圧の大きな深海での潜水が可能になる。液体を満たす事で、現在の気体を使った方法に比べて高い圧力にも耐えられるようになるからだ。また、加圧や減圧の時間を大幅に短縮できるといったメリットもある。

映画、アニメに見る液体呼吸の実例

  • アビス/ジェームズ・キャメロン監督/1989年作品
  • 新世紀エヴァンゲリオン/庵野秀明 監督/1995年作品
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