ルターのドイツ語訳聖書を読み、青年期にエゼキエル書に描かれた幻視体験に類似した数分間の幻視神秘体験を持ったところから、独自に神学的研鑽を積み、靴職人から神秘的著述家となっていったヤーコプ・ベーメの37歳の時のはじめての著作。専門的に神学や哲学を学んだわけではないこともあって、神学書というよりも詩作品、『楽園喪失』や『楽園回復』を書いた詩人のジョン・ミルトンに近い文芸譚として読んだ方がしっくりくる。創造に関わる悪の要素などベーメから大きな影響を受けたと思われるウィリアム・ブレイクのいくつかの預言書よりも内容は整っていて、聖書の独自解釈に沿った創世譚を含むベーメの世界像はるかに読みやすい。 内容に…