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奥村晃作

読書

奥村晃作

おくむらこうさく

歌人

以下の記述はすべて奥村晃作短歌ワールドから引用。

経歴

昭和11(1936)年 長野県飯田市生まれ。東京大学経済学部卒業

宮柊二に師事・「コスモス」選者および編集委員

「棧橋」発行人・「江戸時代和歌」編集人・現代歌人協会理事

自己紹介

代表歌

抑へても抑へても激つ火の海を裡に抱へて生活者われ

ラッシュアワー終りし駅のホームにて黄なる丸薬踏まれずにある

ヤクルトのプラスチックの容器ゆゑ水にまじらず海面(うなも)をゆくか

歩かうとわが言ひ妻はバスと言ひ子が歩かうと言ひて歩き出す

然ういへば今年はぶだう食はなんだくだものを食ふひまはなかつた

さんざんに踏まれて平たき吸殻が路上に在りてわれも踏みたり

結局は傘は傘にて傘以上の傘はいまだに発明されず

六枚の畳はどれもギリギリの寸法に作り圧し嵌(は)めて敷く

大根が身を乗り出してうまさうな肩から胸までを土の上に晒す

タラバガニ白肉ムシムシ腹一杯食べて手を拭きわれにかへりぬ

次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く

ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く

一晩中かかって空を渡りたる大き白き月西の空に見ゆ

大地震予知出来たとてその日その時全員どこにおれと言うのか

落着いてふるまう人の後に付きオレは座席に座れなんだわ

「自動改札」に塞き止められて 喚かれて 納得したりわれの間違い

ニコニコと先刻居りし妻君がいきなり怒る「アンカつ点(つ)いてた」

居ても居なくてもいい人間は居なくてはならないのだと一喝したり

ザトペック・アベベ・円谷(つぶらや)いまは亡く老いたるわれは地(ち)の上走る

どこまでが空かと思い 結局は 地上スレスレまで空である

代表歌19首