男女の賃金格差が解消しない中、家事や育児などの「ケア労働」を視野の外にしてきた主流派の経済学を問い直し、誰もが生きやすくなる経済の理論を生み出そうとする動きがある。「フェミニスト経済学」と呼ばれ、昨秋、国内で初となる教科書が出版された。執筆者の一人、金井郁埼玉大教授(労働経済論)に聞いた。(柏崎智子) フェミニスト経済学 フェミニズムの視点で経済学をとらえ直す学問。「ケア」を経済社会の基盤に据え、ジェンダーによる差別・抑圧でもたらされる不平等から女性のみならず万人を解放し、暮らしぶりの向上を目指す。1960年代以降の第2波フェミニズムの思想や理論の影響を受けて成立し、90年代初頭に欧米を中心に…