火鉢

一般

火鉢

ひばち

少なくとも我が国に於いて、極めて長い歴史を有して来た暖房器具;暖を取るための手段、である*1

しかしながら現代では、専ら石油(灯油)か電力かガス(瓦斯)などによる熱源の影に隠れ、殆ど存在さえしていないかのような有様へと零落してしまった。

しかしながら、例の「3・11」以降急速に問題化して来た電力供給不足やら、大量の二酸化炭素排出によるとされている全世界的規模(グローバル)での「環境問題」、石油資源の枯渇可能性、等々がより深刻に懸念せられて来ている今日に於いて、「炭の力」を以てこれを何程かの熱源へと転化=点火せしめることで、何程かは我々にも、何者かには貢献しうるところが見出されるのだろう。

また、「サムライ」をば中々我國の中に見出せずに残念至極に思っている或る種の外国人旅行客にとっては、例えば畳敷きの間の片隅にひっそりと置かれたる火鉢の独特の和的存在感は、彼等の心中に何程かの慰めを付与し、したがって何かしらの旅情をもそこに同時に、惹起しはするであろう。

美しくその外装と外観とが正に美麗に装飾せられた火鉢も決して少なくはなく、つまりそこには、単に物理的に暖かくなるだけではなく、我々を精神的にも心理的にも温ましめる効果も期待できよう。「骨董品的価値」とて、一概にバカには出来ぬと筆者には想われるのである。

*1火鉢という言葉から、清少納言の『枕草子』の、「古典」の教科書でも御馴染みの、四季のそれぞれの諸風物を愛で(、また時には貶し)たりもする冒頭の「段」のうちの、「冬はつとめて」で書き出される箇所の、「火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし」を即座に想起する向きも、決して少なくはあるまい?