序文・戦国乱世の象徴 堀口尚次 荒木村重は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。利休十哲の1人である。元亀2年の白井河原の戦いで勝利し、池田氏が仕えていた織田信長からその性格を気に入られて、三好氏から織田家に移ることを許された。 天正6年、三木合戦で羽柴秀吉軍に加わっていた村重は有岡城にて突如、信長に対して反旗を翻(ひるがえし)した。一度は糾問の使者〈明智光秀ら〉に説得され翻意し、釈明のため安土城に向かったが、途中で寄った茨木城で家臣から「信長は部下に一度疑いを持てばいつか必ず滅ぼそうとする」との進言を受け、伊丹に戻った。 秀吉は村重と旧知の仲でもある小寺孝隆〈のちの黒田官兵衛〉を使…