江戸の侍・村尾嘉陵が江戸から石神井村まで出かけた話の続き。江古田村(今の中野区江古田)の田園地帯にあった豆腐屋の店先で持参の弁当を食べたところから。 peepooblue.hatenablog.com 田圃の南側には林が連なり、その向こうは上高田村だと教えられたが、大した眺めではなかったらしい。その林はUの字を逆さにしたように流れる妙正寺川に囲まれた台地で、当時の地名は片山村、今は中野区松が丘となっている。 「ここに孫右衛門という農家がある。天正十八(1590)年八月、徳川家康公が江戸に住まいを移された時に、どういう縁からか榊原康勝の朝臣が孫右衛門の家に来られて、ここから江戸に出かけられたとい…