サンライズ制作によるTVアニメ。
「機動戦士ガンダムZZ」とアルファベットの"Z"で表記されることが多いが、ギリシャ文字の「ゼータ」を用いるのが本意。
1986年3月1日から1987年1月31日まで、名古屋テレビ制作・テレビ朝日系で放送された。全47話。
『機動戦士ガンダム』をはじめとするガンダムシリーズの一つ。『機動戦士Ζガンダム』の直接の続編で、第一次ネオ・ジオン抗争を描く。
前作の『機動戦士Ζガンダム』の「地獄の底のような暗さ」とはうって変わってギャグ系というか明るい話になったので、旧来のファンからは賛否両論渦巻いた。もっとも、冷静に見ていると、番組内死者の数では他のガンダムに遜色なかったりする。
元々は『重戦機エルガイム』でキャラクターデザイン等を手がけた永野護がメカデザインの全てを担当する予定であったが、諸々の事情により降板。永野デザインのモビルスーツが使えなくなってしまったことから、急遽、メカデザイナーの出渕裕を招聘し、出渕裕デザインに明貴美加が修正を加えるという形が取られた。(番組後半のモビルスーツデザインについては、明貴美加が一手に引き受けることとなった)
「新型ガンダム」のデザインについては、TTブレインの案を叩き台にし、藤田一己、岡本英郎(岡本がデザインしたガンダムの仮称は「ゴッドガンダム」)といった数多くのメカデザイナーに発注。その結果、小林誠のデザインが採用され、明貴美加により修正が加わったものが「ΖΖガンダム」として採用されることとなった。
本作では、ガンダムはスーパーロボット的な位置付けがなされており、「ネオジオン軍が毎回送り出す新型モビルスーツを、登場ごとにガンダムが倒していく」という形が取られており、モビルスーツの模型を売り出すスポンサー企業に対して配慮された形となった。
ストーリーとしては、本編とはあまり関係の無いサイドストーリー的な話が散りばめられ、否応無く戦争に巻き込まれる人々にスポットを当てて描かれていることが多いため、作品展開の遅さが目立った。企画段階では、作品中盤以降にシャアとアムロが参戦し、ジュドー×ハマーン×アムロ×シャアの4つ巴の戦いが展開される構想であったが*1、番組放送中に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の製作が決定。アムロとシャアの決着の舞台が整えられることとなった。そこで、スタッフは急遽てこ入れを開始。当初「兵士A」の存在であったグレミー・トトを「美形だから」という理由でレギュラーに昇格。「ザビ家の血統を持つ」という裏の設定を施し、番組内で幹部クラスに昇進させ、シャアに代わるハマーンの対抗馬として加えることとした。また、雨後の筍のように「強化人間」「ニュータイプ」を登場させ、中でもヒロイン的な存在であるエルピー・プルのキャラクターにより強い特徴を与えるため、横山広行の発案により「ぷるぷるぷるぷる〜」という奇声を発するようにするなど、様々な改革を加えた。
結局、物語の主人公であるジュドーを木星へと旅立たせることで完結させた本作は、登場人物の都合上、他の作品とは関連性が薄く、歴代宇宙世紀ガンダムの中でもファンの間からは「黒歴史」的扱いを受ける場合が多い。しかし、富野由悠季の監督したガンダムの中で唯一、物語中にコロニー落としを成功させたり、ホワイトベースのクルーであったハヤト・コバヤシを戦死させるなど、宇宙世紀ガンダムに対しての一つの区切りを付けようした作品であったとも言える。
なお、メインライターである遠藤明範が書いた小説版では、アムロ・レイが登場している。
エゥーゴとティターンズの連邦軍内による派閥抗争「グリプス戦役」は、エゥーゴの大包囲作戦「メールシュトローム」をきっかけに、ティターンズの主力を撃滅。エゥーゴの勝利に終わったが、エゥーゴ側もまた損害が大きく、半身不随の状態となる。結局、途中参戦したジオン公国軍の残党であるアクシズ軍が戦力を温存し、地球にその矛先を向けることを黙って見ている他はなかった。
一方、グリプス戦役において多大な戦果を挙げた戦艦・アーガマもまた損害は大きく、リック・ディアスやネモといった主力モビルスーツを失い、搭載されているのは非力な支援機であるメタスと、乗り手を失ったΖガンダムのみであった。アーガマを追撃すべく、ハマーン・カーン(榊原良子)より命を受けた青年仕官マシュマー・セロ(堀内賢雄)の指揮するアクシズ軍の戦艦エンドラより身を隠すため、アーガマの指揮官であるブライト・ノア(鈴置洋孝)は、サイド1にあるコロニー「シャングリラ」へと入港し、時間を稼ぐ作戦を取った。
シャングリラに住む少年ジュドー・アーシタ(矢尾一樹)は、妹リィナ・アーシタ(岡本麻弥)と二人暮らし。ビーチャ・オーレグ(広森信吾)やモンド・アカゲ(塩屋浩三)といった悪友たちとくだらないことをしながら暮らしているジュドーを、情けなく思うリィナであったが、ジュドーはリィナを「山の手の学校」へ入学させるために、今日も元気に駆け回る。
そんなある日、ジュドーたちの耳にアーガマが入港するという情報が入った。「アーガマのモビルスーツを売れば金になる」……そう考えたジュドーたちは、復讐に燃えるティターンズのエースパイロットだったヤザン・ゲーブル(大塚芳忠)に唆され、ガンダムを盗みにかかる。
途中、病院に運ばれるカミーユ・ビダン(飛田展男)とすれ違ったジュドーは、彼に不思議な共感を覚えるのだが、気にもとめずにヤザンたちと共にドックへ向かう。そこで、ビーチャやエル・ビアンノ(原えり子)、イーノ・アッパーブ(菊池正美)たちのかく乱によってΖガンダムのコクピットに搭乗したジュドーは、カミーユに出会ったときと同じような感覚に襲われる。その時、ヤザンのあまりに卑劣な行動を見たジュドーは、激しい嫌悪感と怒りを露にし、Ζガンダムを操縦。誰が乗り込んでも決して動かなかったΖガンダムが動いた事実を見たブライトは、ジュドーをアムロやカミーユの再来であると確信する。
その後、ブライトはジュドーたちをスカウトするが、ジュドーは戦争に参加することを頑なに拒否する。しかし、ジュドーたちの、アーガマに対する愛着はじょじょに強まっていくのであった……。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | プレリュードΖΖ | 南田操(構成) | 寺沢賢 | ||
第2話 | シャングリラの少年 | 鈴木裕美子 | 滝沢敏文 斧谷稔 |
杉島邦久 | 北爪宏幸 |
第3話 | エンドラの騎士 | 遠藤明吾 | 杉島邦久 横山広行 |
横山広行 | 山田きさらか |
第4話 | 熱血のマシュマー | 鈴木裕美子 | 森一浩 斧谷稔 |
関田修 | 金山明博 |
第5話 | ジュドーの決意 | 遠藤明吾 | 滝沢敏文 世良邦男 斧谷稔 |
平林淳 | 恩田尚之 |
第6話 | ズサの脅威 | 鈴木裕美子 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 敷島博英 |
第7話 | ガザの嵐 | 遠藤明吾 | 杉島邦久 斧谷稔 |
杉島邦久 | 小林利充 |
第8話 | 鎮魂の鐘は二度鳴る | 鈴木裕美子 | 横山広行 | 横山広行 | 神村幸子 |
第9話 | 宇宙のジュドー | 遠藤明吾 | 世良邦男 斧谷稔 |
関田修 | 山田きさらか |
第10話 | さよならファ | 鈴木裕美子 | 森一浩 斧谷稔 |
平林淳 | 金山明博 |
第11話 | 始動!ダブル・ゼータ | 遠藤明吾 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 恩田尚之 |
第12話 | リィナが消えた | 鈴木裕美子 | 杉島邦久 | 杉島邦久 | 小林利充 |
第13話 | 妹よ! | 遠藤明吾 | 横山広行 | 横山広行 | 神村幸子 |
第14話 | 幻のコロニー(前) | 鈴木裕美子 | 世良邦男 斧谷稔 |
平林淳 | 山田きさらか |
第15話 | 幻のコロニー(後) | 鈴木裕美子 | 森一浩 斧谷稔 |
関田修 | 金山明博 |
第16話 | アーガマの白兵戦 | 遠藤明吾 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 恩田尚之 |
第17話 | 奪回!コア・トップ | 遠藤明吾 | 滝沢敏文 斧谷稔 |
杉島邦久 | 敷島博英 |
第18話 | ハマーンの黒い影 | 遠藤明吾 | 横山広行 杉島邦久 |
横山広行 | 神村幸子 |
第19話 | プルとアクシズと | 遠藤明吾 | 高松信司 斧谷稔 |
平林淳 | 山田きさらか |
第20話 | 泣き虫セシリア(前) | 鈴木裕美子 | 関田修 斧谷稔 |
関田修 | 金山明博 |
第21話 | 泣き虫セシリア(後) | 鈴木裕美子 | 谷田部勝義 滝沢敏文 斧谷稔 |
川瀬敏文 | 恩田尚之 |
第22話 | ジュドー、出撃!! | 遠藤明吾 | 杉島邦久 | 杉島邦久 | 小林利充 |
第23話 | 燃える地球 | 遠藤明吾 | 横山広行 | 横山広行 | 敷島博英 |
第24話 | 南海に咲く兄妹愛 | 鈴木裕美子 | 高松信司 斧谷稔 |
高松信司 | 神村幸子 |
第25話 | ロンメルの顔 | 遠藤明吾 | 森一浩 斧谷稔 |
関田修 | 山田きさらか |
第26話 | マサイの心 | 鈴木裕美子 | 川瀬敏文 高松信司 斧谷稔 |
川瀬敏文 | 恩田尚之 |
第27話 | リィナの血(前) | 遠藤明吾 | 杉島邦久 | 杉島邦久 | 金山明博 |
第28話 | リィナの血(後) | 遠藤明吾 | 滝沢敏文 | 江上潔 | 小林利充 |
第29話 | ルーの逃亡 | 鎌田秀美 | 横山広行 | 横山広行 | 神村幸子 |
第30話 | 青の部隊(前) | 鈴木裕美子 | 川瀬敏文 高松信司 |
高松信司 | 山田きさらか |
第31話 | 青の部隊(後) | 鎌田秀美 | 谷田部勝義 | 関田修 | 恩田尚之 |
第32話 | 塩の湖を越えて | 遠藤明吾 | 杉島邦久 | 杉島邦久 | 北爪宏幸 |
第33話 | ダブリンの午後 | 鈴木裕美子 | 今西隆志 斧谷稔 |
今西隆志 | 金山明博 |
第34話 | カミーユの声 | 遠藤明吾 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 小林利充 |
第35話 | 落ちてきた空 | 鈴木裕美子 | 横山広行 | 横山広行 | 神村幸子 |
第36話 | 重力下のプルツー | 鎌田秀美 | 高松信司 斧谷稔 |
高松信司 | 恩田尚之 |
第37話 | ネェル・アーガマ | 遠藤明吾 | 滝沢敏文 斧谷稔 |
江上潔 | 山田きさらか |
第38話 | 鉄壁、ジャムル・フィン | 鈴木裕美子 | 杉島邦久 | 関田修 | 金山明博 |
第39話 | サラサ再臨 | 鎌田秀美 | 今西隆志 斧谷稔 |
今西隆志 | 小林利充 |
第40話 | タイガーバウムの夢 | 鈴木裕美子 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 神村幸子 |
第41話 | ラサラの命 | 遠藤明吾 | 滝沢敏文 | 杉島邦久 | 小曽根正美 山下明彦 |
第42話 | コア3の少女(前) | 鈴木裕美子 | 横山広行 | 横山広行 | 山田きさらか |
第43話 | コア3の少女(後) | 遠藤明吾 | 高松信司 斧谷稔 |
高松信司 | 金山明博 |
第44話 | エマリー散華(さんげ) | 鈴木裕美子 斧谷稔 |
杉島邦久 斧谷稔 |
江上潔 | 小林利充 |
第45話 | アクシズの戦闘 | 鎌田秀美 | 滝沢敏文 | 関田修 | 神村幸子 |
第46話 | バイブレーション | 遠藤明吾 | 川瀬敏文 | 川瀬敏文 | 内田順久 |
第47話 | 戦士、再び…… | 遠藤明吾 斧谷稔 |
杉島邦久 斧谷稔 |
杉島邦久 | 北爪宏幸 |
機動戦士ガンダム ZZ Part-1 ― メモリアルボックス版 [DVD]
機動戦士ガンダム ZZ Part-2 ― メモリアルボックス版 [DVD]
機動戦士ガンダム ZZ Part-3 ― メモリアルボックス版 [DVD]
機動戦士ガンダムZZ メモリアルボックス Part.I[Blu-ray]
機動戦士ガンダムZZ メモリアルボックス Part.II<最終巻> [Blu-ray]
*1:OPのシャアはその伏線。