序文・人を化かすタヌキ 堀口尚次 ムジナ〈貉、狢〉とは、主にアナグマのことを指す。時代や地方によってはタヌキやハクビシンを指したり、これらの種をはっきり区別することなくまとめて指している場合もある。この混乱は、「マミ」のような地方名を交えて、非常に複雑な様相を呈している。 ムジナの候補のひとつとされるハクビシンは南方系の動物でありながら、九州に生息しておらず、四国および本州に生息していることや日本における生息が比較的近年まで確認されていなかった事実から帰化動物とされているが、ムジナとしてアナグマやタヌキと混同され、または雷獣〈妖怪〉として認識された、日本の在来種であったという説もある。 目撃談…