参加させていただいている岡谷市で行われている書評会「岡谷で読み紡ぐ会」の次回テーマ本は浦野理一氏についての本である。着物に詳しい方なら知らない人はいないだろう。「ミセス」で着物についての連載をもち、着物界のリーダーの1人だった。 浦野理一氏は染織工芸家と言われるが、着物をよく知らない人にはの作家、デザイナー、専門家というのが一般にはわかりやすいかもしれない。大正、昭和と着物が廃れずに進化を続けてきたのは、浦野氏の力が大きかったと言える。 例えば小津安二郎の名画に出てくる着物は彼の作品である。伝統的なスタイルを受け継ぐだけでなく、独自のスタイルを生み出していったことで、昭和期の着物の全盛期を作っ…