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鏡像異性体

サイエンス

鏡像異性体

きょうぞういせいたい

英語:enantiomer

化学用語

光学異性体、鏡像体ともいう。

ある特定の分子構造に対し、鏡像関係にあり、等価でない(重なり合わない)分子について比較表現として用いられる用語。比較表現でない場合は、光学活性化合物(もしくは不斉化合物)と呼ばれる。

分子内部にねじれの要素がある場合、ある配置の分子とその鏡像関係の配置の分子は重ねあわすことができず、異性体になる。それぞれ平面偏光を逆向きに回転させる性質をもつ。

ほとんどの鏡像異性体は、光学活性炭原子上に4つの異なる官能基が置換することによって発現する。

ある物質とその鏡像異性体を比較すると、ほとんどの物性や反応性が同じであるが、性質を及ぼす基質が光学活性化合物の場合に限り、反応性に違いが見られる。すべての分子とその鏡像体を比較すると、沸点、融点、屈折率、誘電率、紫外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトルおよび質量スペクトルなどの物性や分光学的データは完全に同一である。ただし、円偏光(もしくは楕円偏光)に対する吸収スペクトルは、わずかに異なる。

サリドマイド鏡像異性体の一方は睡眠薬としての薬効を示すが、もう一方は妊婦が服用すると、生まれた子供の手足が短くなる「奇形児アザラシ肢症」という副作用を引き起こす。

体内の蛋白質を構成するアミノ酸は、全て鏡像異性体の片方のL体である。