序文・万歳から漫才へ 堀口尚次 玉子屋円辰〈慶応元年- 昭和19年)は日本の萬歳および音頭取りの芸人。明治末期から昭和初期にかけ、古典芸能であった萬歳をのちの「漫才」につながる近代的な形式の寄席芸能に仕立て直し、多くの後進を育てたことから、「上方漫才中興の祖」「近世漫才の祖」と称される。本名:西本為吉。 河内国河内郡池島村〈のちの大阪府東大阪市〉の生まれ。生家は農家。成人して鶏卵の行商をはじめると、河内音頭や江州(ごしゅう)音頭を歌いながら通りを歩いて鶏卵を売り、評判を取った。音頭取りは俄(にわか)〈宴席や路上などで行われた即興の芝居〉、講談などと並ぶ当時の大阪の寄席芸の主流であり、そのうち江…