近郊型

一般

近郊型

きんこうがた

鉄道車両の一カテゴリー。特に電車について用いられる。

分類

昭和30年代以降、国鉄の電車は車内設備によって概ね以下の4種類に分類された。括弧内は典型的な仕様(車体片側の扉の数と座席配置)である。

以下の記述はこのうち「近郊型」についてのものである。

車両設備

中距離の利用を念頭に、近郊型電車の普通車は通常、以下のような仕様となっている。

  • ドア数は片側3か所、使用線区によっては2か所とする。
  • 座席配置はボックスシートを基本に、乗降の邪魔にならないよう扉付近をロングシートとしたいわゆるセミクロスシートとする。立席での利用も考慮して吊革や握り棒も多数配置する。
  • デッキは設けない。
  • 長時間の利用にも配慮し、編成中1〜2か所にトイレを設置する。
  • 長めの駅間距離を考慮し、走行性能は比較的高速向きのものとする。

使用目的

中長距離の普通列車への使用を主目的としているが、普通列車用の電車は通勤型と近郊型の2種類しかないため、電化区間では大都市圏の国電区間(通勤型車両が使われる)を除けば必然的にすべて近郊型車両の受け持ちとなる。

過去に一部で急行列車に使用された例もあるが、ごく例外的なものである。

JR化後の動き

首都圏では都市圏の拡大により中距離列車の混雑が増し、より大きな輸送力が求められるにつれて、車体はそのまま、セミクロスシートロングシートに置き換えた車両が増え、そのため通勤型との区別が曖昧となっていった。現在では通勤型と同等の車体に近郊輸送対応設備を加えた汎用車両(E231系)が主力となりつつある。

一方、地方都市圏では311系JR東海)、221系JR西日本)、811系(JR九州)、721系JR北海道)などを皮切りに、転換式フルクロスシートを採用し高速都市間輸送に特化させた、快速型とでも呼ぶべき車両の導入が進んだ。

以上のように車両設備の両極化が進んだため、現在ではそれらすべてを近郊型というカテゴリに含めるのは困難になっている。

代表的な近郊型電車の形式

国鉄時代に製造開始された車両に限定すれば、主に以下のものが該当する。

直流車両

111系・113系
東海道線東北線などで使用。近郊型電車の基本形(登場時期としては401系・421系が先行)。113系になるとモーターが出力大型化。
115系
中央線山陽線などで使用。113系に勾配用設備を取り付けたもの。3000番台は片側2ドアの転換クロスシート仕様となった。
117系
当初は京阪神間の新快速で使用。2扉車体に転換式シートを採用、都市間高速輸送を志向し、快速型の元となった。
119系
飯田線で使用。中距離輸送の中でも少人数のローカル輸送に特化した型。リサイクル部品を採用。
121系
四国で使用。119系と同じ条件の少人数ローカル輸送に適した車両、車体がステンレスとなる。
211系
東海道線東北線などで使用。ステンレス車体を採用した、113系に換わる新世代車両。205系と共通のシステムを持つ。
213系
211系の設計と119系の輸送条件を合わせ持った車両。瀬戸大橋線中心の運用。

交直流車両

401系・403系・421系・423系
111・113系電車の交直流両区間対応バージョン。モーター出力と使用地域の電源周波数の違いで形式が違う。常磐線鹿児島線などで使用。
415系
403・423系ベースの、電源周波数に関係なく走れる交直流電車。1500番台は211系ステンレス車体ボルスタレス台車の技術をフィードバックした車両。
417系
415系の、東北地区ローカル輸送向けに2ドアにしたバージョン。
419系
寝台特急用の583系の余剰車を近郊用に転用したもの。北陸地区で使用。

交流車両

711系
北海道専用。地域性から2ドア・デッキつきとなったが、近郊型の範疇に入れられる。
713系
九州地区用。片側2ドア。
715系
寝台特急用の583系の余剰車を、直流設備を撤去のうえ近郊用に転用したもの。九州地区・仙台地区で使用。