先の戦争は、軍部の暴走によるものだとよく言われる。しかし、なぜ軍部は暴走した、というか、勝手ができたのだろうか? まず誰しもがあげるのが、かの悪名高き「統帥権の独立」であろう。つまり、日本の軍隊は天皇の所有物であり(軍艦に天皇家の紋章がついているのはこのため)、軍部の統帥権、すなわち「軍部に軍事行動を命令する権利」は天皇にのみある、とされていたことである。内閣に軍隊を動かす権利はなかったのだ。 とはいっても天皇が軍隊に直接命令することなども実はなかった。じっさいには、昭和になると軍部が軍部を勝手に動かしていたのである。軍部に命令できるただひとりの人、天皇が軍部に命令しないのであるから、軍部が軍…