読んで字のとおり「古くなった紙を回収する」行為。一度使われた紙を回収し、主にこれをリサイクルして使用する目的で回収するものをさす。
昔からの業態としては「ちり紙交換」といわれるもの存在し、都会ではこれが「古紙回収」の役割を努めていた。しかしこれが発達しにくい地方では自治体による「交換」でない「回収」が従来より続いていた。
それが近年、都市部においても古紙が商品ではなくリサイクル処理が必要な廃棄物として扱われ、分別が不十分な場合などで逆にリサイクル費用が発生してしまうことから、行政などが乗り出し、この「古紙回収」が一般的に行われるようになっている。
従来はこの「古紙回収」といえば新聞紙のことであった。これはリサイクルしやすく、まとまとまりやすいという点だったが、近年では
などを背景に、容器包装のリサイクルなどが進み、さまざまな種類の紙が古紙回収に出されるようになってきている。
企業などにおいても、リサイクル意識の向上、ゴミ処理のコスト削減が行われている傾向から、シュレッダーにかけ破砕した紙が大量にリサイクルに出ている。一部で従来はシュレッダーにかけても不十分とされ、社内の管理された焼却炉で廃棄されていた紙ですら、特別な契約を結んだ廃棄物処理業者に渡しリサイクルされるという傾向も出ている。ただしこの場合、償却するよりコスト高になることが多い。これは社で使われている文書は100%リサイクルしている、といった看板のためであろう。*1
しかし、このように古紙回収の費用高騰化の流れも、ここ数年急速に変わりつつある。主にに中国などが経済成長に伴い資源が不足、その結果、純度の高い資源として日本のリサイクル資源に注目して買い付けており、リサイクルペットボトルやダンボール、そしてこの古紙の値段も上昇しているのだ。これにより、一時期ちり紙交換などの業者が消えた後行政が始めた古紙を盗難しうるという事件が多発という皮肉な問題も一部で発生している。
また、リサイクルの外国化が進んでいることは単純な問題ではないと指摘する人もいる。
すでに資源として組み込まれ、リサイクルのサイクルが完全に完成していた古紙において、この回収された古紙が外国に流失することは、「リサイクル」といった観点以上にすでに「原材料の高騰」とい事態を引き起こしているというのだ。
日本国内の古紙をあてにしていたダンボールやちり紙などの業者、さらには高度なリサイクル技術をもった日本国内の業者が原料の高騰によって経営を圧迫、中には廃業に追い込まれる業者も出ており、このまま行くと完全に国内でのリサイクルが再び不可能になる可能性すら出ているというのである。
しかしこの古紙の高騰は、ゴミ処理費用の高騰に悩んでいる地方自治体にとっては「回収し販売することで利益を出し、赤字を埋められる」という福音であり、全国的に地方自治体の財政が問題化している今、回収された古紙の外国の業者への販売は広がっている。
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*1:ただし、多くの企業が、コンピュータ化が進んだ中で、ペーパレス化という以前に、コンピュータ化が進む前より紙の使用量が増えてしまっているといった現実があることも忘れてはならない。