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工藤明生

社会

工藤明生

くどうあきお

「イベントサークル主催者あがりの闇金融振り込め詐欺の帝王」として某巨大匿名掲示板や各種SNSを中心にその名が吹聴されてきた架空の人物。1976年(昭和51年)生、九州出身、明治大学卒業、電通中途退社、指定暴力団山口組系山健組の下部団体「健國会」の企業舎弟、“歌舞伎町五人衆”の一員で一条葵パトロン、通称“あっくん”、というのが基本設定とされているものの、場合に応じた別のパターンも散見される。

「帝王・工藤明生」という虚像の背景については諸説が存在するものの、元ネタにあたる人物自体は「一応」実在するという説が根強い。すなわち、イベントサークル隆盛時代にそれなりに名を馳せた「スーパーフリー和田真一郎に毛が生えた程度の人物」=工藤明生が実在し、そこに有り余るほどの脚色を施したのがすなわち「帝王・工藤明生」であるという説である。

一方、橘玲フィクション小説『マネーロンダリング』(幻冬舎・2002年)の主人公“工藤秋生”を元ネタとした完全な架空の人物であるとする説や、この小説の“工藤秋生”の元ネタとなったのが実在の「工藤明生」すなわち「スーパーフリー和田真一郎に毛が生えた程度の工藤明生」であるとする説も存在する。

ベストセラーいびつな絆 関東連合の真実』(2013年・宝島社)の著者にあたる関東連合関係者・工藤明男は次のように記す。

実は私のペンネーム工藤明男」は、ネット住人の妄想によって作り上げられた“関東連合の黒幕”「工藤明生」のパロディーである。「工藤明生」と検索すると、某タレントの愛人説や五菱会系の闇金融出身で暴力団電通、政界までも裏で牛耳る日本社会の闇のフィクサーのように紹介されている。それも、関東連合の実在する大幹部と並べて紹介されているのだから、嘘と真実が混在するかたちとなり、タチが悪い。はっきりと断っておくが「工藤明生」などという人物は、それが偽名や稼業名(暴力団などがその世界でだけ使う名前)であったとしても、少なくとも関東連合の中には存在しない。警察や大手新聞社の記者でさえ「関東連合の『工藤明生』は実際にはどんな奴なんだ?」と聞いてくることがあるが、そんな人間には実際に会ったことも、見たこともない。もっとも、オレオレ詐欺の頭領として大金をつかみ、数年前まで歌舞伎町キャバクラで派手に飲んでいた「工藤」を名乗る男の噂は耳にしたことはあるが……。

一説には、内部告発的な「危うい」情報までが簡単に出てしまうという現代ネット社会の状況に危機感を抱いた現実の「闇金融振り込め詐欺の帝王」に相当するような人物(ないしは勢力)が、話題の的を自身(ら)から逸らすために―すなわち捜査線撹乱を企図して作り上げた「ネット対策マスコット」であるとする見方もある。中規模振り込め詐欺グループのリーダーにあたる人物がネット掲示板の「目撃情報」書き込み一つから潜伏先の北海道で逮捕された事件(2012年)は記憶に新しい。

関東連合怒羅権などの各種半グレ集団関係事案周りでその名が登場することが多い。類似キャラに「日下部治郎」など。