高名な批評家であるロラン・バルトは、写真論の『明るい部屋』で「ポルノ写真はエロティックではない」と言った。 バルトはメイプルソープの作品を指し、「この写真は定型的なイメージではなく、タイツの網目に私の注意を向けさせた。これでようやく、この写真はエロティックになった」と言う。 そして、SMの愛好家たちを、定型的なイメージを実現しないかぎり満足できない人々として憐れむ。 なぜ、ポルノはこれほど非難されなければならないのか。 ただし、バルトは偏見でポルノを侮っているわけではない。 バルトは『恋愛のディスクール・断章』で「今日ではセックスより感傷のほうが社会の禁忌を犯す」と言う。 これは現代について正…