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国営諫早湾干拓事業

一般

国営諫早湾干拓事業

こくえいいさはやわんかんたくじぎ

国営諫早湾干拓事業は、1989年より長崎県佐賀県にまたがる諫早湾で行われている干拓事業。

有明海西部に位置する諫早湾を潮受け堤防で閉め切り、約670haの干拓農地と農業用水を供給する淡水の池を造った。

2008年に完成し、約40の個人・法人が営農している。福岡佐賀熊本各県の漁業者らは堤防閉め切りが漁業不振を招いたとして、農林水産省に潮受け堤防排水門の開門を要求。一方、長崎県干拓地営農者らは塩害など農業被害が起きるとして開門差し止めを求めている。

2010年12月6日、福岡高裁は2013年12月20日を期限として、5年間の潮受け堤防排水門開門調査を行うことを命じ、当時の首相である菅直人の政治判断により、国は上告を断念したため、判決は確定した。しかし、開門時の農業被害などを防ぐ国の事前対策工事は、反対する住民らの抗議で着工できない状態が続いていた。

2013年11月12日、開門に反対する干拓地の営農者など約460の個人・法人が国を相手取って、潮受け堤防排水門の開門調査の差し止めを求めた仮処分申請で、長崎地裁は、開門の差し止めを命じる決定をした。

このような相反する判決が出たため、国は期限を過ぎても開門を行うことができない状態となった。

さらに、2014年4月11日、佐賀地裁は、2か月以内に開門しなければ、確定判決に従い潮受け堤防排水門を開門するまでの間、佐賀県長崎県漁業者49人に1日1万円を支払うよう命じる判決を出した。理由として、国側が開門できない理由として挙げた地元の強硬な反対について、「ほかの代替工事を検討するなどの余地がないとは認められない」と指摘、開門差し止めを命じた長崎地裁仮処分決定についても「保全異議の申し立てをするなど法律上の措置を取ることが可能だ」とし、いずれも間接強制を認めない「事実上の障害」には当たらないと判断した。なお、国は同日、福岡高裁執行抗告を申し立てた。

これに対して、2014年6月4日、長崎地裁は、開門差し止めを命じた仮処分決定に従わず開門した場合、国が干拓地の営農者らに1日49万円の制裁金を支払うよう命じる決定を出した。その理由として、開門時の農業被害などを防ぐ事前対策工事の費用を国が2013-2014年度の予算に計上したほか、業者と契約を結んだ事実を挙げた上で「国は工事に着手しようとした」と指摘、佐賀地裁が間接強制を認めたことなども指摘し「国による開門の恐れがある」と判断した。なお、国は同日、決定を不服として福岡高裁執行抗告を申し立てた。

確定判決を国が守らないという異例の状態が継続すると、国は2014年6月12日以降、佐賀地裁決定に従い、開門するまで1日49万円を開門派の漁業者側に支払わなければならない。その一方で、開門すれば反対派の営農者に同額を支払うこととなる状態となった。

2014年6月6日福岡高裁は、開門しない場合に強制金の支払いを国に命じた佐賀地裁の間接強制決定を支持し、国の抗告棄却した。