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国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約

社会

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約

こくさいてきなこのだっしゅのみんじじょうのそくめんにかんするじょ

[英] Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction

[仏] Convention de La Haye sur les aspects civils de l'enlèvement international d'enfants

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約は、子の利益の保護を目的として、親権を侵害する国境を越えた子どもの強制的な連れ去りや引き止めなどがあったときに、迅速かつ確実に子どもをもとの国に返還する国際協力の仕組み等を定める多国間条約。通称「ハーグ条約」。

概要

世界的に人の移動や国際結婚が増加したことで、1970年代頃から、一方の親による子の連れ去りや監護権をめぐる国際裁判管轄の問題を解決する必要性があるとの認識が指摘されるようになった。そこで、1976年、国際私法の統一を目的とする「ハーグ国際私法会議(HCCH)」(オランダ1893年設立)は、この問題について検討することを決定し、1980年10月25日に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」を作成した。2014年1月現在、世界91か国が締結している。

なお、ハーグ条約とは、HCCHで作成された30以上の国際私法条約の総称を指すこともあるが、通常は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」のことを「ハーグ条約」と表記することが多い。

日本における条約締結

日本においては、政府が、2011年1月から、ハーグ条約の締結の是非を検討するために関係省庁の副大臣級の会議を開催し、締結賛成派、締結反対派等各方面から寄せられる意見も踏まえ、日本の法制度との整合性、子の安全な返還の確保、中央当局の在り方等について検討を行った。

その結果、ハーグ条約の締結には意義があるとの結論に至り、2011年5月に条約締結に向けた準備を進めることを閣議了承し、返還申請等の担当窓口となる「中央当局」は外務省が担うとの方針の下、法務省及び外務省において当事者や専門家等の様々な方面からの声を踏まえつつ、実施法案が作成された。

2013年第183回通常国会において、5月22日にハーグ条約の締結が承認され、6月12日に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(いわゆる「ハーグ条約実施法?」)が成立した。

条約及び条約実施法の承認・成立を受け、2014年1月24日、条約署名、締結、公布にかかる閣議決定を行うとともに、条約署名を行った上で、オランダ外務省に受諾書を寄託した。この結果、日本においてはハーグ条約2014年4月1日に発効した。

条文

この条約署名国は、

子の監護に関する事項において子の利益が最も重要であることを深く確信し、

不法な連れ去り又は留置によって生ずる有害な影響から子を国際的に保護すること並びに子が常居所を有していた国への当該子の迅速な返還を確保する手続及び接触の権利の保護を確保する手続を定めることを希望し、

このための条約を締結することを決定して、次のとおり協定した。

第一章 条約適用範囲

第一条

この条約は、次のことを目的とする。

a いずれかの締約国に不法に連れ去られ、又はいずれかの締約国において不法に留置されている子の迅速な返還を確保すること。

b 一の締約国の法令に基づく監護の権利及び接触の権利が他の締約国において効果的に尊重されることを確保すること。

第二条

締約国は、自国の領域内においてこの条約の目的の実現を確保するため、締約国は、利用可能な手続のうち最も迅速なものを用いる。

第三条

子の連れ去り又は留置は、次のa及びbに該当する場合には、不法とする。

a 当該連れ去り又は留置の直前に当該子が常居所を有していた国の法令に基づいて個人、施設又は他の機関が共同又は単独で有する監護の権利を侵害していること。

b 当該連れ去り若しくは留置の時にaに規定する監護の権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたこと又は当該連れ去り若しくは留置がなかったならば当該権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたであろうこと。

aに規定する監護の権利は、特に、法令適用により、司法上若しくは行政上の決定により、又はaに規定する国の法令に基づいて法的効果を有する合意により生ずるものとする。

四条

この条約は、監護の権利又は接触の権利が侵害される直前にいずれかの締約国に常居所を有していた子について適用する。この条約は、子が十六歳に達した場合には、適用しない。

第五条

この条約適用上、

a 「監護の権利」には、子の監護に関する権利、特に、子の居所を決定する権利を含む。

b 「接触の権利」には、一定の期間子をその常居所以外の場所に連れて行く権利を含む。

以下略